インフルエンザについての疑問  



1)インフルエンザワクチンは有効でしょうか?

  ワクチンはそのシーズンに流行しそうなタイプに合わせて製造されていますから、それが的中した時には有効率は高くなりますが(7〜8割)、予想した型と違ったインフルエンザが流行した場合には十分な効果が期待できないことになります。この予測精度は年々向上していますから、最近は大きく外れることは余りないようです。

また前述したように、新型インフルエンザには、既存のワクチンは全く予防の効果はありません。




2)インフルエンザ脳症は怖い合併症と聞きましたが。脳症とはなにですか?
 

 インフルエンザ脳症は、乳幼児がインフルエンザにかかった時の合併症では最もやっかいなもので、特にA香港型が流行する時に多発する傾向がみられます。

5歳以下の乳幼児を中心に毎年数百人が発病し、このうち約2〜3割の子どもが死亡し、死をまぬがれても、2割以上の子に神経学的後遺症を残します。

統計的には、1歳児に最も多く、次いで2歳、3歳の順となっています。

発熱が始まって、数時間から1日以内に脳症による神経症状が出ることが圧倒的に多く、急速に進む経過が、タミフルなどの抗インフルエンザ剤が有効かどうかの判定をむずかしくする要因となっています。

症状は、高熱につづき、けいれん、意味不明な言動、急速に進行する意識障害が主なもので、炎症反応の調整役である「サイトカイン」の過剰反応が脳の腫れ(脳浮腫)などを伴って、これらの症状を発現してくるものと考えられています。



特殊な解熱剤や、以前に処方された薬は使わないようにしましょう

 ある種の解熱剤(ジクロフェナクナトリウム(商品名「ボルタレン」、「アナバン」など)や、メフェナム酸(商品名「ポンタール」、「タカピロン」など)を使用すると、脳症の死亡率が高くなることが知られていますので、これらの薬を使用しないことが大切です。

また、サリチル酸製剤を含む総合感冒薬が問題になる場合もあります。インフルエンザにサリチル酸製剤を使用した時に、稀ではありますが脳症の一種の「ライ症候群」をきたす恐れがあるためで、総合感冒薬を安易に用いることも慎むべきです。

以前に別の病気で処方された内容がはっきりしない薬を勝手に用いることもしないようにしましょう。

脳症では、けいれんや意識障害が起こる前に、わけの分からない言葉を繰り返したり、幻視・幻覚を思わせるような言動が見られたりすることがあるようですが、これらの行動がみられたからといって、脳症が始まりかけているとも言えません。

高熱だけでも強い不安や興奮をきたすことがあり、上記のサリチル酸製剤にもせん妄(強い不安や恐怖、興奮、意識の混だくなどの状態)の副作用がみられることもあるからです。






3)脳症は予防接種で防ぐことは可能ですか?

ワクチンを受けていてもインフルエンザにかかることがあるのは前にも述べた通りですが、ワクチン接種者に脳症発症率が低い傾向があるとも言われています。しかし、ワクチンを受けておけば脳症が抑えられるかどうかについては結論が出ていません。

また、タミフルなどのインフルエンザ特効薬で脳症が予防できるかどうかについても分かっておらず、今後の研究に待つしかありません。





4)特効薬のタミフルがインフルエンザ感染予防に使えるようになったと聞きましたが?

予防に使えるのはカプセルだけで、それもインフルエンザにかかった人の同居家族または共同生活者のうち65歳以上の高齢者とか、感染するとリスクが高まるとみられる喘息や心疾患などの慢性疾患を有する13歳以上の患者さんに限られています。

従って、13歳以下の小児や、13歳以上でも健康な人、ならびにインフルエンザ患者と接触があっても患者さんと同居していない人は予防投与の対象にはなっていません。

また、使用した場合でも健康保険の対象とはならず自費ばらいとなります。

「タミフルの予防使用」は、ワクチンによる予防の代わりになるものでもなく、感染予防の基本はワクチン接種にあることを知っておいて頂きたいと思います。