サマータイム は 地球温暖化対策となるのでしょうか

 洞爺湖サミット(主要国首脳会議)が7日から開催され、地球温暖化防止対策、食糧や原油価格高騰などを主要なテーマとして協議が進められています。

昨年6月の独ハイリゲンダム・サミットで合意された「世界全体の温室効果ガスを2050年までに少なくとも半減させる」という長期目標を確認・共有したうえで、途上国にも働きかけるという首脳宣言が採択される予定だということです。

これに先立つ5月24日からは、神戸市で主要8ヵ国G8)環境相会合が開かれ、2013年以降の温暖化防止の次期枠組み交渉への道筋が話し合われました。

京都議定書に続く13年以降の温室効果ガス削減の国際的な枠組みについて、先進国の国別総量削減目標と、排出量が急増している途上国の抑制を目指すべきとする議長総括がまとめられています。

 政府の地球温暖化問題に関する懇談会も6月16日、中長期的な温暖化対策を盛り込んだ提言をまとめ、福田首相に提出しました。この提言には、「夏季に1時間時計を進めるサマータイムや一斉消灯といった運動の展開」がポイントとして挙げられています。

サマータイムの導入によって、CO2換算で143万dの省エネが期待され、温暖化防止にもつながるというのです(提唱元である社会経済生産性本部の計算)。143万dは、年間CO2総排出量の0.1%にしか相当しませんが、それでも京都議定書の目標達成に必要な削減量の約1%にあたり、チリも積もれば何とやらの精神忘れるべからずなんだそうです。

 このサマータイム導入をめぐっては、賛否が入り混じり議論が尽きません。新聞などの主張を見ると、どちらかといえば批判的な意見が多いようにも見受けられます。

サマータイム(夏時間)制は、daylight saving timeDST)とも呼ばれ、日本とアイスランドなどを除くOECD(経済協力開発機構)加盟国など約70カ国が採用しているそうです。

夏の日照時間の長い間だけほぼ半年間、時計の針を通常より1時間進めるものですが、わが国でも占領下の1948年、GHQの指導で4年間実施された実績もあり、私も子ども心に不可解な想いを抱いた記憶が残っています。

政府も78年の第2次石油危機以降に再々復活を検討したばかりか、99年には超党派の議員立法の動きが、04年には超党派の議員連盟(サマータイム制度推進議員連盟)が発足、05年には立法の動きすらあったのですが未だ実現していません。

本来の朝8時は、サマータイムになれば9時ということになり、夕方の明るい時間を有効利用できるという計算になります。夕方7時に帰宅してもまだ十分に明るく、わが子の相手もできてパパの面目も取り戻せるというメリットを強調する意見も見逃せません。しかし残業漬けになっている今のサラリーマンが明るいうちに帰宅するというのはおとぎ話という見方もあって、サマータイムはサラリーマンの間では醒めた見方が一般的なようです。

しかし、何でも反対では埒が明かないので試しにやってみるのも一法でしょう。

日本経団連は、昨年に2008年度の導入を目指すビジョンを提示していますし、経団連事務局職員約250人が「エコワーク」と称する早出・早退勤、残業なしの試みに取り組んだ結果、生活にゆとりが生まれたという評価も示されています。

札幌市では2004年7月、サマータイム制の導入に向けた実験に踏み切り、2年目の05年には1万4千人が参加する大実験に拡がって、早い帰宅で家族との触れあいが増えたとか、趣味に費やす時間が作れて非常に有意義という評価もみられます。少なくとも、経営者の8割、従業員の7割が賛成した事実だけは残っているのです。

一方、反対意見の論旨は、エネルギー消費は減るどころか増えるという研究報告が相次いでいることで、サマータイムの省エネ効果に疑問符が付くというものです。

カリフォルニア大学の研究では「1〜4lの増エネ」という結果が出てはいますが、本当のところは良く分かっていないと言った方がいいでしょう。

さらには、サマータイムの導入当初は睡眠時間が短くなりやすいばかりか、入眠と覚醒の睡眠リズムを狂わせて睡眠障害を引き起こし、場合によっては居眠り運転による自動車事故増加の懸念があること、グローバルなコンピューター・ネットワークに影響が出て大変な障害が起きる可能性があるなどの論拠も示されています。2000年の「Y2K問題」(2000年になるとコンピューターの時計が狂って飛行機の墜落事故や医療機器が誤作動して命にかかわる等)を思い出せ!という過激な発言もみられ、その修正だけで最低1000億円ものコストがかかるとも言われています。

残業が多く、週に50時間以上も働く人が3割近くあるというわが国においては、労働時間をもっと短くする工夫と制度を取り入れない限りサマータイムの利点を活かすことはなかなか難しいようです。

省エネにつながるかどうかも疑問視されているようでは説得力に乏しく、省エネの観点からは照明をこまめに消したり、冷房の温度設定を1〜2℃高めにする努力をした方が賢明というのが素直な感想のようです。