ヒートアイランド現象 と 都市冷却

                                                 09.8.11


 台風9号の接近に伴う局地的な集中豪雨は、河川の増水や土砂災害を引き起こし、兵庫県佐用町や徳島県に甚大な被害をもたらしました。

西方に位置する台風8号によって台風9号の北上が阻まれ停滞したために、大雨が長時間にわたり降り続いたようです。その上、11日早朝には、駿河沖で震度6の地震が発生、東海・関東地方は二重の苦しみに襲われたのでした。

 

猛暑の少ない今年の7月でしたが、このまま真夏日の少ない夏で終わるのかどうかは分かりません。

盆から後の気温はともかくとして、全国的な日照不足や長雨で、09年産の水稲の作況指数予想は「96と、3年ぶりの「やや不良」となりそうです(8月7日、朝日新聞)

一昨年(平成19年)も低温の7月、酷暑の8月と激しい変動を経験。8月16日には、岐阜県多治見市、埼玉県熊谷市では40.8度と、過去最高記録74年ぶりに塗り替えると共に、全国101地点で日中の最高気温を更新したのです。8月に入って太平洋高気圧が勢力を急拡大し、お盆付近を中心に各地で連日のように気温35度以上の「猛暑日」を連発する原因となったということです。

この日、大阪の最高気温は38.1度で、東海地方の名古屋市の39.4度や多治見市を上回ることはなかったのですが、8月の平均気温では29.9度と平年比+1.5度、全国で一番の暑さを記録しました(過去三番目。一番は1995年の30.3度、二番は1994年の30.2度)。

 「猛暑日」という呼び名が設けられたのもこの年からですが、この年の大阪市では、猛暑日が8月13日以降の連続10日を含めて計14日となりました。

猛暑の背景として、車やエアコンの排出熱、アスファルトやコンクリートがため込んだ熱による「ヒートアイランド現象」が一因となっているとみられます。

都市の平均気温はこの100年で2〜3度高くなっており、そのうち1度は地球温暖化、残りが都市化の影響、すなわち、都市の気温が周囲より高くなる「ヒートアイランド現象」によると考えられています。

 

 大阪がかくも暑いのは、三方を山に囲まれているという地形的な問題と共に、緑地が少ないのも原因となっているようです。校庭に芝生を植えたり、庁舎の屋上緑化、保水性が高く道路表面の温度が上がりにくい舗装道路への変更など、ヒートアイランド現象を緩和するための取組みが進められてはいるものの効果は限定的です。

産業技術総合研究所の研究では、東京23区におけるヒートアイランド現象の影響による損失は、健康被害を中心に年間44億円に及ぶという試算が出されています。熱帯夜が原因の睡眠障害など、健康被害によって減少する余命などに基づいて計算された損失額だそうです。

 

 政府が04にヒートアイランド大綱をまとめたのをはじめ、東京都や大阪府などでは、大規模建築の緑化義務が条例化されました。都市冷却対策には緑化が最適という結果も得られたところから、自治体だけではなく民間も含めた都市全体での取り組みの重要性が再認識されつつあります。

 ビルの屋上だけではなく、壁も緑で覆う「壁面緑化」の実用化に向けて実験も進められていますが、ゴーヤや朝顔、ヘチマなどの「緑のカーテン」、ビル外壁用の保水性や透水性に優れた緑化パネルの開発などが有望視されています。

 打ち水は昔の夏の風物詩でしたが、最近また、その効果が見直されてきています。東京での実験でも、打ち水は1.5度ほど気温を下げる効果があることが証明されており、大阪では、大阪市水道局が水道水を霧状にしてまく「ドライ型ミスト散布」の研究と普及を進めています。17年から進められている実証実験では、最大で周囲の気温を9度下げることもわかっており、水道管ネットワークを生かした水の霧状散布による気化熱利用のこの事業の成果が期待されているということです。(8月8日、産経新聞「ドライミストで街を涼しく」)