新政権の子育て支援政策

「子ども手当」は「ばらまき」なのでしょうか?

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「子育ては社会全体で」、「コンクリートから人へ」などを標榜して政権交代を果たした民主党でしたが、目玉政策の柱でもある「子ども手当て」については財源問題から綻びが出始めています。

基礎年金の国庫負担の増額、医療費の自然増(1兆円)なども合わせると社会保障費だけで約6兆円の新たな財源が必要になる計算から、11年度からの子ども手当て満額支給も財源的に困難視され始めました。

2月1日の衆院では、自民党の谷垣総裁が「子ども手当て」を槍玉に挙げ、「子どもを育てることは一義的に親や家庭が責任を持つべきで、子ども手当てはばらまき施策にほかならない」と批判、これに対して鳩山首相は「子どもの育ちを等しく社会が支援するもの」との理念で応酬。子育ての理念に対する根本的な違いから議論はかみ合いそうもない雲行きとなっています。子育ての責任を家庭だけに押し付けてきた「つけ」が今日の少子化の一因にもなっているわけで、長年にわたり政権を担当してきた自民党の自覚と意識改革が進まない限り議論は前向きにならない気もします。

 

子ども手当ては中学校卒業まで、子ども1人につき月2万6千円を給付するものですが、10年度は半額となっています。それでも予算は2.3兆円が必要となります。

理念は評価できても、財政的裏づけに乏しい実現不可能な政策は絵に描いた餅になりかねません。「所得制限なし」については賛否両論ですが、メディアは好意的なように見受けられます。高所得の人はそれだけ税や社会保険料などの負担も重く、高負担の見返りが少ないと取られっぱなしという感覚だけが残りかねません。

児童手当に限らず、イギリス、フランス、ドイツ、スウェーデン等の西欧諸国では「所得制限なし」が当たり前となっているようです。スウェーデンのように高福祉・高負担の国でも、目で見える形でのリターンが多く、負担の多い層でも比較的に不満が少ないのはそのためとみられています。この恩恵分を計算に入れて国民負担率を評価すると、日本とスウェーデンでは大した格差はないという見方もあります。

一方、鳩山首相は2月1日、小中学校の学校給食費、保育所利用料、地方税などを滞納している家庭にあっては、子ども手当から徴収して充当してはどうかという制度を11年度から導入できるかどうかの検討を指示したと言われています。

 

子育て支援は待つことの出来ない重要な課題です。1月29日には、鳩山政権が初めて打ち出す包括的な子育て支援策として「子ども・子育てビジョン」閣議決定されました。

これは子育て支援に関する今後5年間の取組みをまとめたプランで、2014年までに夜間保育施設を200ヶ所増やすなど、40項目に及ぶ数値目標を明記しており、追加財政支出は年間1.6兆円と試算されています。

その他の数値目標としては、 @認可保育所の定員約25万人増、 A親の仕事中に小学生を放課後の教室などで受け入れる「学童クラブ」の定員30万人増、 B幼稚園と保育所の機能を備えた「認定こども園」を5倍以上の2000ヶ所増加などが盛り込まれています。

このような施策の円滑な具体化のため、子育て政策財源を統合して制度間の連携を強化するための関連法案について2011年をメドとして厚労省は検討に入ったと報道されています(1月4日、日経)。

これは保育所の運営や育児休業給付、放課後児童クラブ運営費などの子育て政策の財源を統合し一括管理して連携を図り、限られた財源を効率的に配分する方向で検討しようというものです。