アイスランドの火山噴火 と 世界的大混乱

天明の大飢饉とは?

22..20     
                                     

アイスランド南部のエイヤフィヤットラヨークトル火山の噴火で吹き上げられた火山灰によって飛行は制限され、欧州の主要空港の閉鎖はいつ解除されるか分からない状態が続いています。

空路の混乱に業を煮やした一部の欧州航空会社は試験飛行を試み、安全域を探った上で飛行制限の段階的緩和を模索し始めたようです。 しかし、1982年のインドネシアの火山噴火に遭遇した英国ブリティシュ・エアウェイズ機は、ニュージーランド約11`の上空でエンジンがガラス質の微粒子を含んだ火山灰を吸い込んで4基とも停止したものの、高度を下げることによって再起動して九死に一生を得たというエピソードも残されており、飛行はかなりリスクの高いものになりかねません。

スペイン、ポーランドなどは18日に、オーストリアは19日から再開、フランクフルトやミュンヘン空港も一部再開を目指していますが、パリ、ロンドンなどのハブ空港は再開のメドが立たず、運行は通常の約3割にとどまるとみられています。

 

この混乱で足止めされた日本人は、ヨーロッパ全体で1万2000人に及ぶといわれています。

航空会社の損失は数百億円を下らないばかりか、生花などの出荷停止によるロスや物流の停滞は計り知れず、日本でも需要の多いサーモンやチーズの輸入は閉ざされたままで品不足が深刻になってきたようです。

 アイスランド気象庁の専門家は「同程度の火山灰の放出は、数日から数週間発生が続くと見られる」という分析を公表している(4月17日、毎日新聞)ところから、火山灰の拡散は今後さらに大きくなると見ておいたほうがいいようです。過去には半年以上にわたり噴火が続いたという事実もあるのです。

 

 アイスランドの火山爆発といえば、天明の浅間山噴火と大飢饉、そしてフランス革命を思い浮かべます。

浅間山は群馬・長野県境に広がり、天明の大噴火1783年7月)による火山灰は地球を取り巻いて日照不足をもたらしたのです。冷夏による冷害・大飢饉によって、東北地方の死者は約10万人に上り当時の人口の1/3を失ったばかりか、語るもはばかるような悲惨な地獄絵が展開されたという史実が残されています。飢饉は不作のせいばかりではなく、コメの物流をめぐる奥羽諸藩の失政が被害を大きくしたともいわれています。

この時フランスでも、気象異変から小麦の不作が深刻となり、それが引き金となって民衆が蜂起しフランス革命1789年)が起きたのではないかと言われた時期もありました。

しかしその後の研究でフランス革命は、世界的な異常気象をもたらしたアイスランドのラキ火山の噴火(ラカギガル火山:17831784年)が遠因とされ、浅間山噴火は追い打ちをかけただけと考えられるようになったようです。

 

今回の噴火では、主に欠航による混乱と損失だけに関心が集まっていますが、問題は異常気象の到来でしょう。

噴煙の高さは徐々に下がり始めたとはいえ、約15`の成層圏まで達していることが確認されています。エアロゾル化した粉じんは気流に乗って世界の上空にばらまかれて滞留し、日照を遮り寒冷化が進むと予想されます。寒冷化は、数ヶ月以上に及んで各国の農産物の生育に深刻な影響を及ぼすのではないかと危惧されます。

1991年には、フィリピン・ピナツボ火山噴火の影響でわが国は1993年の冷夏と深刻なコメ不足を経験しましたが、この際も、冷夏と政情不安定が「天明」になぞらえられたものでした。