首都機能移転論議 再燃 !

                                                                               2012.4.3

  東日本大震災をきっかけに、2000年ごろ一時話題になりその後は立ち消えになっていた「首都機能移転/分散」論議が再燃し始めています。

 首都直下型地震の懸念もあって、国会や行政、司法の中枢機能を一括移転するという国家百年の大事業に関する議論はさらに活発化しそうな雰囲気です。

東京への一極集中と過密、その対極にある東京以外の都市の過疎など相対的な沈滞を軸に語られることが多いのですが、21世紀の首都はどうあるべきか」という本質論を欠いたまま進められてきたきらいが無きにしもあらずと言えるでしょう。

首都機能移転問題の経緯は、1990年に衆参両院で移転決議がなされ、92年に国会等移転法が成立。その後目立った動きのないまま、阪神大震災の直後から再び盛り上がり、国会等移転審議会9912月に、「栃木・福島」、「岐阜・愛知」、「三重・畿央(三重・滋賀・京都・奈良の4府県境)」の3地域を候補地に上げました。ところが審議は3候補地の綱引き場と化して候補地の絞り込みもできず、2002年5月30日、衆院国会等移転特別委員会は与野党協議機関に委ねるとして結論を先延ばしにしたのです。

そもそも現実論として首都を移すことなど考えていない人が多い中、国民の関心も薄いうえ大量の税金を必要 (1997年の試算では、官民合計で最大12兆3千億円の資金が必要)、更には特別委の委員となっている3候補地を地盤とする議員以外は無関心という有様では、議論が盛り上がらなかったのも当然と言うべきでしょう。

候補地が一本に絞れたとしても「東京との比較」作業が必要で、肝心のお膝元、東京都はといえば石原慎太郎知事を筆頭に移転反対論者一色となっていたのです。

この大計が絵空事に終っていた矢先、福島第一原発の放射能騒ぎで東京放棄の話も出た裏で、緊急時に政治、行政、金融などの中枢機能を遂行しうるバックアップ機能を備えた代替地として、関西や東北が名乗りを上げたのです。

 昨年5月関西広域連合は、首都圏での大規模災害発生時の首都機能損失に備えて、国会や中央官庁などの中枢機能を一時的に関西で代替する体制づくり「副首都構想」を政府に提言。さらに関西経済連合会は5月の定時総会で、「東京一極集中で日本の国が危機的状況に陥っている。首都機能分散についても真剣に議論する必要がある」と表明しています。

橋下徹前大阪府知事も関西代替構想を提唱していますが、これを受けて石原都知事も、首都直下地震への警戒感もあって軟化、首都機能分散論を容認する姿勢に転じているそうです。

「3.11」以降、関東・東北は特に地震が多発しており、東京直下でM7級の大地震がもうすぐ起きるという危機感ばかりか、日本では、どこでM7クラスの大地震が起きても不思議はないと言われれば、一体首都をどこに移せばいいんだと言いたくもなります。

阪神大震災に続く2007年の能登地震を契機に西日本は「地震活動期」が続いていると観られ、プレート境界型の巨大地震である前回の南海地震(1946) から60年以上が経過した西日本は広いエリアにひずみがたまりつつあり、どこで地震が発生するのか予測が非常に難しいと言われています。

 内閣府の有識者検討会は 3月31日、東海・東南海・南海地震を起こす「南海トラフ」でこれらの想定震源域が連動し、最大級の地震が起きた場合の津波高と震度分布の推計を公表しました。この「千年に一度」を想定した今回の検討会の推計は、関東から四国の太平洋側6都県23市町村で最大20b超の津波が、また、震度7の地域は10153市町村に及ぶという衝撃的なものです。

世界を見渡しても、東京ほど大断層が近くに集中している首都はほかになく、大噴火も視野に入れておく必要がある富士山からもそれほど遠くない「東京」という都市に首都機能を集中させておいて良いのかどうか、21世紀の首都のあり方も含めて検証する絶好の機会ではないでしょうか。