「猛暑の可能性『低い』」

「今夏 北極などの気圧分析」 から

                                                         2012.8.28

立秋(8月7日)、さらには暑さが和らぐとされる「処暑」(8月23日)も過ぎたのに蒸し返すような話題で恐縮至極。これは7月7日の日経新聞に載せられた記事のHLです。

節電、節電とせっつかれ、今夏の酷暑を経験した身にはこの記事がうらめしく思えますが、記事をからかう積りは毛頭なく、気象予報がいかに難しいかを伝えるために紹介することにしました。

この記事は、三重大大学院の生物資源学研究科の立花教授らのグループの研究成果を紹介したものです。研究のもとになっているのは「北極振動指数」なるものです。

地球の気温は北半球の気圧の変動の影響を受けて上下するという「北極振動説」によっても解析されるそうですが、今回の三重大の研究では、北極を中心とした通常の気圧分布をモデル化し、それとの違いを数値で示す「北極振動指数」を使って、猛暑であった10年夏と今年の状況を比較検討し、上記のような結論に達したというものです。

(北極振動とは、北極と北半球中緯度地域の気圧が相関する現象のことだそうで、海洋においては「エルニーニョ現象」が、大気の大循環の変動には「北極振動」が変動要因として最たるものと考えられ、日本の異常気象、特に寒冬と深い関係があると考えられています。北極の気圧偏差の程度を表す値が北極振動指数で、これが正()の時は、北極と北半球中緯度の気圧差が大で、日本付近では温和な天候になるとされています。)

 

10年の猛暑も語り草になるようなものでしたが、その原因としては、北極振動も一因とは見られていたものの、「偏西風の大蛇行」が主因とみられ、さらに、南米ペルー・エクアドル沖の海面水温が平年より上昇する「エルニーニョ現象」や、逆に南米沖の海面水温が平年より低くなる「ラニーニャ現象」による9月の厳しい残暑が異常気象の背景にあると考えられていました。

09年冬から10年夏に掛けては北極圏の気圧配置の変動によりジェット気流が蛇行して日本列島に猛暑になったと分析されていますが、三重大の分析では、昨年末からの気圧分布は北極振動指数がほぼ平均的な数値に留まっていたために「猛暑はない」との推測がなされたようです。