中央道崩落事故 大惨事

又もや “想定外?”

                                               2012.12.

恐れていたことが現実になりました。

山梨県の中央自動車道上り線笹子トンネル内で110b以上に渡って天井が崩落し通行中の車3台が下敷きになるという事故で、死者は9人に達し、インフラ構造物の事故としては例を見ない大惨事となってしまった。

お亡くなりになられた方のご冥福をお祈り申し上げます。

笹子トンネルは1977年に開通し、今年9月に実施された点検では『異常なし』の判断が出ていたそうですが、崩落した天井板を支えるつり金具を固定している長さ23cmアンカーボルトが老朽化のせいか脱落していたことが明らかになっています。

ボルトとの接合部分のコンクリート自体の経年劣化の可能性も否定できず、トンネル最上部の内壁とつり金具の結合部(高さ約5b)については、特殊なハンマーによる打音検査の必要性は明文化されておらず、目視点検だけであったという「保全点検要領」の不備も指摘されているようです。

報道によると、同様の天井式のトンネルが、全国の高速道路に計29ヶ所、高速道路以外も含めれば49ヶ所あることも分かっており、国土交通省は近く緊急点検を指示する方針だということですが、点検といっても、大幅な通行規制が必要になるため利用者のこうむる不便や不利益は例えようもなく大きいと言えましょう。

この事故に学ぶまでもなく、高度経済成長時代に大々的に建造された高速道路や橋梁などは老朽化が進み、補修の必要な損傷箇所が飛躍的に増加するなど、多額の費用がネックとなって補修が追いついていない現状が危惧されていました。

全国のトンネルの数は約1万300本で、このうち4800本程度が1982年以前の開通、実に4割強が開通から30年以上も経過しているという実態があり、築40年以上のものも3200本程度に上ることがわかっています。

国内に70万ある橋梁も、60年代半ばから90年代前半にかけて造られたものが多く、通行止めや重量制限がなされているものを含めると4年前に比べて約1.7倍に増えているそうです。

「危ない道路や橋は少なくない、今回の事故は氷山の一角」と警告する専門家もあり、社会インフラ全体を単純に更新しようとすれば、8兆円もの巨費がかかるとの試算もなされ、造るだけでなく、どう整備・維持するかが厳しく問われているとの指摘もみられます(124日、日経)

コンクリート構造物の劣化現象が問題になり出したのは、随分と以前の話です。

日本は海に囲まれており、コンクリートを打つ際の砂や砂利に含まれている塩分が構造物中の鋼材や鉄筋を腐食させ、さびなどが膨らむことによって、コンクリートにひび割れや劣化などが引き起こされるのではないかと考えられています。

高度経済成長期には、急増するインフラ整備のために良質なコンクリート、砂や砂利の調達が困難となり、洗浄していない海砂や不良砂利を大量に使用、更には手抜き工事などが複合してコンクリート構造物の耐久性を弱めた結果、鉄筋や骨材の腐食を招いてコンクリート構造物の劣化現象が加速しているのではないかと懸念されている。

トンネルの定期点検は、日本道路協会などが策定した「道路トンネル維持管理便覧」に基づき、高速道路トンネルは25年に1回、重要性の高い道路は状況に応じ1年に1回の定期点検が望ましいとされているそうです(12月3日、日経)

老朽化を危惧する東日本、中日本、西日本の高速道路3社は、今年11月にトンネルや高架橋の補修方法などを検討する委員会を発足させて協議を進めようとした矢先の悲劇となったようです。

全国6つある都市高速道路で補修の必要な損傷箇所は約13万カ所に上ることが判明しているものの、いずれの管理会社・公社も「すぐに大規模な道路や高架橋の損壊につながることはない」としていますが、今回の事故を目の当たりにすると安心して通行できないという心境になる人が少なくないのは当然のことでしょう。

1964年に開通した阪神高速(総延長245.7`)では、開通後40年以上経過した区間(79.7`)が増えるのに伴い、損傷箇所が急増している事実もあり、補修が必要な箇所数も05年度8000から09年には2万9000へと、4年で約3.6倍に急増、その背景には高架部分が多い上に、老朽化、交通量の膨張などがあるとされています。(716日、毎日新聞)

今後は検査回数を増やすだけではなく、車を通行止めにし、特殊な機材を導入した大掛かりな検査など検査体制の強化が求められところから、推計される数百億円規模のコスト増 (日経)が通行料金の値上げに跳ね返ってくるのは避けられないところでしょう。