富士山大噴火 間近?

                                                    

                                                                                 2013.5.21

 東日本大震災以来、火山活動が活発化する可能性が残されており、大規模な噴火が起きる恐れが強まっているのではないかという観測も高まっています。 新聞やテレビで紹介されることも多いのでご存知の方も少なくないでしょう。

 以前には、活火山、休火山、死火山の区別があったのですが、死火山と思われていた信州・焼岳が1988年に噴火してからはこの区別がなくなり、国内110の火山は全て噴火の恐れありということになっています。

  富士山麓では、地割れや富士五湖の一つである河口湖の水位低下、富士宮市における大量の地下水湧出などの異変が観察されており、特に、湖の水位は地下の変化に敏感に反応するというので警戒されています。

多くの火山学者が「富士山は近いうちに噴火する」とみているそうですが、「近いうち」というような曖昧な表現では納得できないのが日本人の心情というものです。

 1952年のカムチャッカ地震の1日後にはカルピンスキー山噴火、1960年チリ地震の2日後にコルドンカラジェ山噴火、1964アラスカ地震の64日後にトライテント山噴火、2004年スマトラ地震の105日後にタラン山噴火というように、マグニチュード(M) 9クラスの巨大地震が起きると、数年以内に噴火を誘発するという過去の例も少なくないようです

日本でも、1707年の宝永地震の49日後に富士山は大噴火しました。

東日本大震災の4日後には富士山直下でM6級の地震が起こり、その関連性が取りざたされたことも記憶に新しいところでしょう。

最近の状況は、巨大地震と大震災が相次いだ9世紀に似ているとの見方もある処から、防災対策や観測研究の強化が求められているということです。

内閣府の有識者検討会は、富士山を中心に「日本列島は今世紀中に大規模噴火などが発生してもおかしくない」と指摘し、広域避難体制の整備や観測態勢の強化などを提言しています。(5月17日、産経新聞)

先日、宝塚でベルサイユのバラ、かのベルバラを観劇する機会がありました。幼時から診察していた女性が第99期生としてデビューし、招待を受けたからです。

1789年のフランス革命前夜のパリを舞台にドラマは展開し、絢爛豪華きらびやかな舞台にはあっけに取られるばかりでしたが、少し違和感を感じたのは、舞台背景の空や建物が当時のパリにしてはやや鮮やか過ぎることです。

 フランス革命の直接的な原因は、財政破綻、ブルボン王朝と貴族の軋轢、庶民の生活苦にあるのでしょうが、冷夏など天候異変による小麦不足などの農作物不作、その日のパンにも事欠く日常という背景も見逃せない点でしょう。

1783年にはアイスランドのラキ火山(ラカギガル)が噴火、同年7月には日本の浅間山が相次いで噴火し、これが日本では「天明の大飢饉」、フランスでは「大革命」の引き金になったといわれています。噴出し成層圏を覆い尽くした火山灰やガスで日光は地球に届きにくくなり、世界各地は冷夏に見舞われて小麦などの凶作と餓死は目も覆うばかりであったということです。

 浅間山の爆発による火山灰は江戸の街に数センチも降り積もり、来る日も来る日も雨が降り続いて利根川をはじめ河川の氾濫も相次ぎ、天命の大飢饉では東北地方中心に20数万人の餓死者が出たと云われています。

 フランス革命はラキ火山噴火の6年も後のことですが、当時のパリもPM2.5や黄砂の影響で鉛色の空に覆われた今冬の北京のようであったことは想像に難くありません。

パン不足は年々激しくなって餓死者も続出し、1789年7月、ついに民衆の怒りが爆発、パスティーユ監獄襲撃へとつながり革命の火蓋が切って落とされることになります。

 問題は富士山の噴火です。

「世界遺産」登録が達成された途端に大噴火にでもなったら目も当てられない結果となるでしょう。

富士山は、三大噴火と呼ばれる80002年の「延暦噴火」、864年の「貞観噴火」、1707年の「宝永噴火」以来、平均して30年に一度の割合で噴火、平安時代にも、約300年間で10回も噴火を繰り返しているのです。

宝永噴火では、10日以上も火山灰が降り続き、江戸でも厚さ5aの降灰が観測されたということです。

頻度はともかくとして、「宝永噴火」(1707年)から約300年間は噴火しておらず、地下にはエネルギーが溜まっている上、平成23年の大震災によって日本列島が東西に引っ張られて「マグマ」が噴出しやすくなっているという説もみられます。

300年間も噴火しないのは、富士山の歴史では異例のことなんだそうです。

御殿場付近の「富士山山体崩壊」の懸念も消えず、ひとたび大噴火ともなれば、溶岩流、さらには91年の雲仙・普賢岳噴火でも経験された火砕流などが地元を襲うことになります。

噴煙は偏西風に乗って、約100km離れた東京まで2時間ほどで達し、火山灰は首都圏にも降り注いで交通網のみならず、火力発電所の機能低下、飲み水や食料品不足、経済活動全般に大被害(2004年の推計では約2兆5千億円)をもたらして首都機能の完全マヒを起こすことになります。

火山灰が0.5mm積もっただけで稲の収穫は期待できず、5mmで道路は閉鎖に、10mmで停電、電波障害、上下水道マヒが起こると予想されています。

さらにはインフラへの影響のみならず、窓の小さなすき間からでも室内に侵入した火山灰が室内環境を汚して健康被害をもたらすだけではなく、コンタクトレンズの使用もままならずという状態や、パソコン機能を損ねて使用できないという状況を生み出すことになるでしょう。

富士山周辺の観測網50数台の観測機器をはじめ世界有数の精度を誇り、微小火山地震や山体の微妙な変化、マグマの動きなどを事前に捕まえられるようになっているため、地震予知とは違って、噴火数週間前には異変を察知し避難も可能と考えられています。

気象庁は、噴火で広範囲に火山灰が降ると予想される場合、その範囲を予測する「降灰予報」に、新たに降灰量の予想を加える方針を決めました。降灰2aで畑作物被害が、30aになって降雨があれば木造家屋全壊の危険性が高まるのだそうです(247)

しかし、火山噴火については地震に対するほどには警戒心も強くなく、火山の近くには観光地も多いことから根拠の乏しい風評被害をもたらしかねない点から、余り騒ぎ立てるのは得策ではないという本音も見え隠れしているように思われます。

噴火余地の難しさはともかく、噴火しないというシナリオは地球物理学的にはありえないとされており、噴火に対する心の準備、そして、防塵マスク防塵眼鏡(コンタクトレンズは使用不可)、飲料水(3日分)、食糧備蓄、懐中電灯や予備の電池、パソコン被覆用のラップ材などは、地震対策と同様に常備しておく必要があるでしょう。