天災は忘れた頃に来る

南海トラフ地震の現実味/遅々として進まぬ耐震化率

2014.2.4

 「南海トラフ」という活字が紙面を飾らぬ日はないくらいで、中には明日にでも大震災に襲われそうな錯覚を覚えそうな記事すら見られます。

 しかしこの憂いは絵空事ではなく、政府の地震調査委員会が昨年5月24日に発表した長期評価によれば、マグニチュード(M) 8以上の地震発生確立を今後30年以内では6070%、10年以内だと20%程度20年以内なら4050%、50年以内だと90%程度以上と想定し、「次の大地震の可能性はたかまっている」との注意喚起を盛り込んだのです。(昨年5月25日、日経)

この予測数字をどうとるかは個人によって異なるでしょうが、南海トラフでは90150年ごとにM8級の地震が発生していることも事実で、前回は1944年の東南海46年の南海地震に見舞われています。

調査委は次の地震までの間隔を88.2と予測、残り20年という切迫した状況にあり、M9.1の最大クラスとなる可能性もゼロではないとしているのです。

 「天災は忘れた頃に来る」 という言葉は、かの有名な物理学者で随筆家でもあった「寺田寅彦」が発した警句です。

平成7年の阪神淡路大震災から19年、3.11東日本大震災からでも3年の月日が経とうとしていますが、あの忌まわしい出来事の一部は風化さえし始めているという感は拭えないようで、しっかりと記憶に留めることが肝要でしょう。

昨年3月、政府は南海トラフを震源に巨大地震が発生した場合の被害想定を公表。

最大220兆円の被害をもたらすものと予想され、死者は32万3千人、建物倒壊約240万棟、被災する可能性のある人は6800万人と想定されるものの、耐震化の促進や緊急地震速報の受信装置の普及などの防災・減災対策によって、5割は減らせるという目算のようです。

減災対策といっても所詮は費用、先立つものがなくては話にならぬばかりか、費用とともに国や国民が対策の重要性を十分に認識して対策の優先順位を高め、出し惜しみせずに減災対策に一定のコストをかける度量と覚悟が必要なようです。

国土交通省は15年までに建物の耐震化率を9割に高める目標を掲げているそうですが、その達成には毎年数千億円の費用を耐震改修に掛け続ける必要があるといわれています。