捕鯨をめぐる攻防 日本の敗戦決定的?

2014.4.8 

3月31日、オランダ・ハーグの国際司法裁判所は、南極海での調査捕鯨を「科学的研究を逸脱している」と結論づけたうえで、現行方式での調査捕鯨の中止を命じる判決を言い渡しました。

日本の政府も、「国際法秩序と法の支配を重視する国家として判決に従う」としていることから、日本の捕鯨政策は大きな見直しを迫られることになります。

今回の判決は、日本の調査捕鯨が国際捕鯨取締条約に違反するとしてオーストラリアが差し止めを求めた提訴内容を全面的に認めるもので、調査捕鯨は同条約が例外的に認めた科学調査に当たらず、商業捕鯨による捕獲数を1986年からゼロにすると定めたモラトリアム(一時停止)にも違反しているという判断もなされています。

 捕鯨については、クジラを「資源」とみるわが国のような捕鯨支持国と、「動物保護の立場から守るべき野生動物」とする反捕鯨国がIWC(国際捕鯨委員会)で対立し、重要な決定ができない機能不全状態が長年続いており、年次総会は毎年のように決裂、日本が求める「商業捕鯨」の再開は絶望的というのがここ10数年の姿です。

 南極捕鯨で捕獲されたクジラ(27回の調査捕鯨で計約1万頭)は国内流通量の2割にとどまっており、今後は、3割を占める北西太平洋の調査捕鯨や、アイスランドをはじめとする捕鯨国からの輸入分(2割)、太地町などの沿岸捕鯨もまさに風前のともしび状態とも言えそうです。

ある年齢以上の人には学校給食の定番として馴染み深い鯨。給食のクジラを知っているかどうかで年齢が分るという皮肉で、微妙な一面もあるのです。

今回の判決に対する街の声も、わが国の伝統的な食文化に痛手とする業界や年配者の意見に対して、鯨の肉など食したこともなく困ることなぞ何もないという若者の声も少なくなくいようです。ただ戦後の一時期、貴重な蛋白源であったことは確かで、クジラと水菜を使ったハリハリ鍋は今でも浪花の名物伝統料理で、最盛期には、鯨肉消費量の7割を大阪で消費していたと言われています。

鯨肉の国内流通量はピーク時の約2%まで激減したとはいえ、今回の裁定はクジラ料理店にとっては死活問題となりそうです。

クジラ資源が減り続けているのならまだしも、同じ大型哺乳類でありながらクジラと牛の違いはどこにあるのか、日本人には理解に苦しむ点も少なくありません。

 日本の調査捕鯨に対する米国の反捕鯨団体「シー・シェパード」の妨害工作は普く知れ渡っているところですが、2007年には南極海での妨害工作でけが人まで出る始末、2008年のIWCロンドン大会では、この蛮行を非難する声明も採択されています。

このシー・シェパードの船の乗組員の過半数がオーストラリア人というのもオーストラリアの反捕鯨姿勢と無関係ではないようですが、初代007役のショーン・コネリーや米テレビ界の有名司会者ボブ・パーカー氏など著名な政治家、俳優らがシー・シェパードに寄付をし支援し続けて、国際的な反捕鯨キャンペーンを繰り広げています。

また、2010年の第82回アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞は、和歌山県太地町のイルカ漁を隠し撮りした映画「ザ・コーブ」が受賞したことも話を複雑にしており、反捕鯨が世界の注目を浴びましたが、食文化や江戸時代から約400年も続く鯨類追い込み網漁の「文化度」をどう評価するかも議論の的になっているようです。