人口減少の影響ジワリ

人手不足本格化、家事、介護にも外国人?

2014..22

  わが国の総人口は減少し続け、安倍政権が1月にまとめた「成長戦略」の検討方針に「外国人受け入れ環境の整備」を明記しましたが、6月にまとめられる予定の成長戦略の焦点にもなってもいます。 

 日本では専門的、技術的分野の外国人の受け入れは認める一方、単純労働者の入国は認めない方針を採ってきました。極めて身勝手な理屈なのですが、そうも言っていられない現実が迫って来たのです。

 安倍首相は、4月の経済財政諮問会議・産業競争力会議の合同会議において、「女性の活躍推進や経済成長の観点から、外国人材の活用の仕組みの検討」を提案し、女性の就労促進を視野に、家事支援サービスや介護などの分野での外国人労働者の受け入れ制度の検討、外国人技能実習制度の対象業種の見直し等を指示しました。

 日本では「技能実習制度」1993年に創設され、2012年末時点で15万人の実習生が存在することや、経済連携協定(EPA に基づく看護・介護の人材受け入れを08年からインドネシア、09年からフィリピンなど累計1000人以上も受け入れ、さらに今年度からはベトナムを新たな対象国とすることで、少子高齢化による医療や福祉現場の深刻な人手不足の解消を図ろうとしています。

 これらの人材は介護福祉士候補生として受け入れられており、福祉士の資格をとれば日本で働き続けられるとはいうものの、言葉の問題もあって国家試験合格のハードルが高く、期待通りの戦力になりきれていないという現実があります。

 厚労省の試算では、2025年時点で看護人材は最大45万人、介護人材は最大138万人が不足すると見積もられており、人材の門戸を海外に広げることが少子高齢化による人手不足の解消の妙手ではないかと考えられているのですが、介護の実習生の拡大によって「事実上の移民が介護から始まる」と言われるゆえんなのです。

技能実習制度の実習期間は最長3年で、帰国後に実習生として日本に再入国することは認められていませんが、新成長戦略では、実習期間の延長や、建設・農業、機械など製造・農漁業68職種を介護分野へも拡大することが検討課題とされています。

 厚労省の発表では、201310月末時点の外国人労働者数は技能実習生を中心に約72万人で、年々増加傾向にあるそうですが、外国人労働者の受け入れは微妙な問題を含んでおり、滞在が長期化すれば限りなく 「移民」の議論に足を踏み入れざるを得ないことになります。

 移民は「国家に活力や知恵、資本をもたらす」として、超富裕層から肉体労働者まで幅広い移民を積極的に受け入れ、世界で最も成功した国になったとされるシンガポールのような国もあれば、自国民の雇用が脅かされたり、移民流入による失業率の高止まり、治安問題などに悩む欧州各国の例もあり、移民受け入れには検討すべき多くの課題が残されていることもまた事実でしょう。

 さしあたり人手不足の影響をもろに受けるのは、震災復興や2020年の東京五輪などによる需要増に対応しきれない建設業でしょうが、少子化対策や人口減少対策をなおざりにし、「土建国家」と言われるばかりに公共投資に邁進してきた国や経済界が掘った墓穴という手痛いしっぺ返しが目の前に展開しているように思われます。