騒音と「音」の風雅

2014.10.21 

秋も深まり運動会のシーズンもどうやら終わりました。

 筆者が校医をしている小学校は周囲がマンションで囲まれており、運動会当日は生徒の歓声やスピーカーの大音量が近隣住民の皆さんの我慢を強いることになったと思われます。

 子供の大声は元気の象徴でもありますが、神戸市で、保育園の近くに住む70代男性が「子供の声がうるさい」として、防音設備設置や慰謝料100万円の支払いを求める訴訟を起こした事例がありました(9月6日、毎日新聞)

2006年に神戸市に開園した保育園の北10bに住むこの男性は、「子供らの声や太鼓の音などは騒音であり、神戸市が工場などを対象に定めた規制基準が保育園にも適用されるべきだ」と主張。保育園側もそれなりの防音対策を採っているようですが、どうも折り合いがつかなかったようです。

記事はさらに、子供らの声が騒音だとして問題になるケースが近年増えており、その背景には「少子化で子供の声を聞く機会が減って、余計にうるさく感じてしまう傾向があるのではないか」という識者のコメントが紹介されています。

子供も減って、戸外で遊ぶ子供の騒ぐ声を聞く機会もめったになくなった今、この事件を単純に批判することは簡単なことではありません。この男性の心情も分からぬでもないのですが、お互いが気遣いや思いやりで対応するしか仕方がないのではないでしょうか。

将来、この子供たちが成人して社会や高齢者を、経済的にも社会福祉でも支えてくれるんだという構図を考えると、自分の忍耐の限界だけを主張するのもどうかと思われるのですが。

環境省は「残したい日本の音風景100選」を選定していますが、その100選の中には、仙台市の「宮城野のスズムシ」や「広瀬川のカジカガエルと野鳥」、山形市の「山寺の蝉」など、まさに風雅、和の極み、ぜひ一度は聴いてみたいなと思わせる音も含まれているのですが、たまに聞くから好いのであって毎日聞いているとうんざりするという地元の声も聞こえて来そうです。

スズムシやコオロギのすだく声を耳さわりだと感じる人も少なくないようですし、風鈴に至っては、特に夜中、風の強い日、冬の風鈴は睡眠を障害する公害以外の何物でもないという悩みを抱えている人も大勢いらっしゃるようです。 

癒し、風雅と騒音は紙一重、気配りが何よりの特効薬のようです。