スマホ狂想曲(2)

2015.2.3

 わが国でも、2008年頃からスマートフォン(以下スマホ)タブレット端が急速に普及し始め、2012年に人口の4分の1であったスマートフォンの利用者は、今や人口の半数近くが所有するというほどに増加しています。

スマホ界をけん引する「iPhone(アイフォン)」のアップルは、昨年1012月期の決算で売上高が前年同期比30%増しの7459900j(88千億円)を誇り、四半期としては過去最高を更新したというほどに好調な採算を維持しています。 

 総務省がまとめた調査によると、高校1年生の9割近くがスマホを所有し、このうち半数が休日に3時間以上も、平日でも3割強が3時間以上も使っていることが分かっています。1日当たりのスマホの利用時間は、平日で「1時間以上2時間未満」が29.1%、休日で「2時間以上3時間未満」が23.3で最多という結果だったそうです(2014.10.12、毎日新聞)

 また、大阪府が約1万5千人の小中高性にアンケートしたところ、9割の高校生がスマホを所持しており、そのうち2割がインターネットで知り合った人と実際に会ったと回答、トラブルが起きても約7割の小学生が「誰にも相談しない」と答えるなど、深刻な実態が浮かび上がったということです。無料通信アプリLINE」や交流サイト「SNS」を通じて子供たちが犯罪に巻き込まれるケースが多発していることから「家庭でもルール作りを」と呼びかけられています(2014.12.29 産経新聞)

 さらに厚労省研究班が2013年に行った調査によると、パソコンやスマホに没頭する「インターネット依存」の傾向のある成人男女は全国で推計421万人に上り、08年の調査の約1.5倍に急増していることが分かっています。

国際的な定義によれば、「インターネット依存とは、気が付くと思いのほか長時間ネットをしているとか、没頭しすぎて睡眠時間が短くなってしまうなど、ネットの使い過ぎで健康や暮らしに影響が出る状態とされています。

スマホ規制には賛否両論があるようですが、ネット依存の中高生が約51万人に上ると聞けば心穏やかならぬ親は少なくない筈です。

スマホがかかえる問題点については、「歩きスマホ 規制の足音」と題して1014年5月3日の本欄で触れました。

自転車スマホは道路交通法にも抵触する行為(1999年の道交法改正で自転車運転中の携帯電話は禁止、違反者は5万円以下の罰金)で論外でしょうが、歩きスマホを規制する法律はまだ整備されてはいません。

歩きスマホ経験者はスマホ所有者の6割にも達し、日常的に歩きスマホをしている人の5人に1人は他人にぶつかったり、自分で転倒してケガをしたりという経験があるそうです。

国は教育のICT( Information and Communication Technology:情報通信技術)化を推進し、2020年までに「1人1台の情報端末」を全ての小中高校の教室に常備するという構想を打ち出しているため、1人1台のタブレット端末などの可動式コンピューターが日常的になる日はそう遠くはないと思われます。利便性を極度に追求した革新的なツールという点が評価される限り、負の一面には目をつぶったままでスマホが普及、進化していくのは防ぎようのないことかもしれません。

 日本小児科医会では、2004年に「子どもとメディアに関する提言」を発表、さらに2011年には「子どもとメディア〜これだけは知っておきたいケータイ・ネット依存」というリーフレットを配布しています。度重なる警鐘にもかかわらず、数年間でネット依存の深刻さが進んだことの何よりの証拠でしょう。

この冊子の中で「依存していく子どもたち」と題して、「ゲーム漬けから成績低下・不登校傾向になった男児」、「不登校からゲーム漬け、生活リズム崩壊」、「ネットゲームに依存し続け不登校へ」、「夜間のゲーム漬けから起床困難・腹痛・頭痛を発症」などの具体例が提示されており、保護者の管理責任が強く求められています。

 日本小児連絡協議会(日本小児保健協会、日本小児科学会、日本小児科医会、日本小児期外科系関連学会協議会で構成)からも、「子どもとICT 〜子供たちの健やかな成長を願って〜」委員会により「子どもとICTの問題についての提言」が啓発されています。

 教育のICT化を推進するなど世界最先端のIT先進国を目指す国の姿勢の一方で、ネット依存や犯罪に巻き込まれるケースが社会問題化するなか、子供たちを守るルール作りは家庭や保護者、教育関係者、PTA、医療関係者や行政に課せられた大切な役割ではないでしょうか。