立ちはだかる「小1の壁」・「小4の壁」

「小1の壁」は越えられるのでしょうか?

学童保育の課題

2015.2.10

 

安倍首相は成長戦略の中核に「女性の活躍」を位置づけ、女性の社会進出を後押しする各種の施策を推進して「2020年までに指導的地位の女性の割合を3割以上に引き上げる」との政府目標を決めています。

 

 構造的な人手不足が日本経済にとって大きな課題となっており、女性と高齢者の就労を促進し、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)に沿った職場環境の改善を図ることが強く求められているのですが、定時退社がしにくい企業風土や、長時間労働が一般化した働き方を修正しない限り仕事と子育ての両立は難しいと思われます。

 昨年1227日、政府は経済対策の閣議決定を行い、子供を持つ女性が安心して働きに出られる環境を整備するには待機児童の解消が不可欠として、政府が以前から掲げる平成29年度までの「待機児童解消」に向けて、認可保育所の施設整備を前倒し着工して早期開設を可能にする仕組みを進めることにしました。

 

 保育所に通う子供は約227万人で、待機児童解消に向けて保育所の整備が進められています。4年連続で減少(前年比1370人減)しているとはいえ、昨年4月時点ではまだ21,371人の待機児童が残されているようです。昨年度は全国で約4万7千人分の定員を増やしたものの、女性の社会進出に伴う保育ニーズの増加に追い付かずイタチごっこになっているありさまです。

 

保育園だけではなく、もう一つの待機児童の問題は、共働きやひとり親家庭などの小学生を放課後や夏休みに預かる「学童保育(放課後児童クラブ)」の問題があります。

子育て中の女性が働く場合の障壁の一つが「小1の壁」で、学童保育の限られた定員がネックとなって待機児童となることや、学童保育の対象が小学1〜3年までとなっているため、小学4年になると放課後の対応がむずかしくなる「小4の壁」が問題になっています。

学童保育は厚労省の所管、文科省は別に「放課後子供教室」を推進するというように、幼保一体化と同様に、縦割り行政の弊害が子供たちの放課後の過ごす場所を限られたものにしていることも否定できないでしょう。今回、「放課後子ども総合プラン」と銘打って厚労省と文科省が連携して受け入れ施設を増やす検討を進め、放課後児童クラブについては平成31年度までに約30万人分の受け皿の整備を進める予定ということです。

さらに、この4月からは「子ども・子育て支援制度」という新制度が始まることになっており、学童保育の新たな基準も省令で定めて15年度からは利用対象を4〜6年生にも広げ、職員も原則2人以上の配置にするなど新たな基準が盛り込まれています。この発想がうまくいけば、保育園から学童保育へと切れ目のない子育て支援の環境が整うことになります。

最近のように児童を巡る様々な犯罪事件の多発を思うと、子供を独り外で遊ばせたり留守番をさせることに不安を感じる親は少なくなく、仕事で家を留守にすることに抵抗感を持つ人が増えてきたのは当然のことでしょう。米国では、10歳以下の児童が子供だけで外出したり留守番をすることが犯罪扱いされる州もあるくらいですから、親のいない時の過ごし方は各国の検討課題となりつつあります。

 

学童保育の利用児童は、15年前に比べ2.7倍の93万人(2014)に達しているものの、待機児童は約9千人、一説には潜在的待機児童は40万人とも推定されている上、設置運営基準がなく設備が悪くて補助金も少ないといった幾多の課題を抱えています。

平成14年時点で全国に約2万2千ヵ所の学童保育施設があり(全国学童保育連絡協議会調査)そのうち約7割が自治体などの公立ですが、社会福祉法人、保育所、NPO(民間非営利団体)のみならず、進学塾や鉄道会社、フイツトネスクラブなどのなどの参入が相次いでおり、1998年施行の改正児童福祉法による法制化を機に著しい伸びを示しています。

 

最近は遅い時間まで預かる学童保育も増えてきて、午後10時までとか深夜まで受け入れる施設もあるとはいえ、預かり時間が短いために働き方を変えたり退職せざるを得ない人も多く、夜勤の親の要望にも対応できる施設の整備は避けられない課題となっています。

しかし、午後6時以降も開いている学童保育は全体の50%くらいで、働く親にとって要望が強いのは午後7時以降の時間帯とされていることから、利用時間の延長には早急な対応が求められるところでしょう。