あとは神頼み?

2015.2.17

 医療の進歩は日進月歩。各種の診断機器の開発による早期診断、放射線療法をはじめとする先進的医療、新治療薬と併用療法の進歩、遺伝子レベルの解析などによってがんを初めとする多くの病気が克服されるようになってきました。

 政府は成長戦略の目玉として、米国のNIH国立衛生研究所)にならって「日本版NIHをこの春から始動、官民共同で医療分野の競争力を強化するなどの構想を具体化することにしています。

関係省庁の縦割りが災いして整合性の乏しかった予算配分(約3500億円)にもメリハリをつける効率的な支援体制を築き、日本が先行する再生医療分野などに医療研究予算を重点配分することにしています。

 昨年5月には「健康・医療戦略推進法」と「独立行政法人日本医療研究開発機構法」が成立、iPS細胞などを使った再生医療製品の実用化の期待も高まっています。

 費用のかかる新技術や新薬の導入は「医療費」の押し上げ要因として働き、高齢化の進行と相まって避けることのできない課題となっています。

しかし現在では、革新的先進医療を望んでも医療保険の対象となっていないばかりか、これら公的医療保険を使えない医療(自由診療)と保険の対象となっている医療を併用する(混合診療)と、自由診療のみならず本来は保険が利く部分までも全額が患者の自己負担になってしまうという壁が横たわっているのです。

 2006年には「保険外併用療養費制度」を創設して、海外で既に使用実績のある未承認薬の使用を望む難病患者らの求めに応じるとともに、同制度に含まれる「評価療養」「選定療養(個室料金など)」の混合診療を認めることになりました。

安全性や効果が明確になった時点で「評価療養」に公的保険を適用することになっています。さらにはリスクのある診療に対して、国の専門家会議が安全性を保障しない限り混合診療の対象とはしない「患者申し出療養」制度が提案され、国民皆保険のもと、最終的には保険適用にするという厚労省案にそうものかどうか課題は残されているようです。

いずれにしろ医療が高度化・先進化すればするほど費用がかさむことには違いはないのですが、先進的技術だから高価であるというわけではありません。

2月13日の日経新聞の「がん検査 コスト100円 日立と九大、18年にも」という記事が目を引きました。

初期のがんを1100円程度のコストで見つける装置が日立製作所と九大の共同開発により実用化され、2018年にも発売されるというのです。記事によれば、がんの種類までは分からず、どこのがんかはX線などを使う従来型の検査で判定するのだそうです。

理屈は、体長壱_bの「線虫」ががん患者の尿に反応して寄り付く習性を利用し、約100匹の線虫の動きを精密に画像解析して判定すると、9割以上の高い精度で「がんの有無」を確認できたというのです。1回の診断時間は1時間程度で、画像解析には日立のビッグデータ分析技術が利用されます。

空港での「麻薬探知犬」の活躍は有名ですが、「ガン探知犬」は、皮膚がん、肺がん、乳がんなどのガン細胞の発する匂いを嗅ぎ分ける能力をもっており、がん患者特有の呼気を弁別できると言われています。

ガン患者の体内で生成される何らかの化学物質を犬が嗅ぎ分けているようなのですが、「化学物質」とは「揮発性有機化合物 VOCs」ではないかと推定されてはいるものの、詳細は不明のままなようです。