社会保障費を切り詰め、負担の先送りをどう止めるか?

薬と医療費をめぐる綱引き

2015.6.26

5月8日に財務省が発表した 国の借金の残高は10533572億円に達し、過去最高を更新したということです。4月1日時点の人口(1億2691万人)で計算すると、国民1人当たり約830万円の借金を抱えていることになります。    

少子化・人口減少対策と財政健全化は先伸ばしできない課題であり、放置すれば年1兆円規模で膨らむ社会保障費の伸びを巡る議論は最大の焦点となっています。現状のままならば、消費税率を25%まで上げても、早晩、財政危機は深刻になり、次世代への負担の先送りが続く構図は改められないことになります。

財政健全化計画を巡っては、経済成長による税収増の効果をどう見積もるかで諮問会議や政府内の意見の対立を生んでいます。経済財政諮問会議の描く青写真は、成長戦略の推進で名目成長率が改善され、その結果として税収増が財政健全化をもたらすというものです。

医療や介護などの社会保障費の伸びを年0.5兆円に抑えるべしというのが6月1日に出された財政制度等審議会の報告書の要旨ですが、高齢者が受診時に支払う医療費の上限額をその人の所得や金融資産に応じて決めるよう提案しています。

さらに、ジェネリックと呼ばれる「後発薬」の普及率を高めて20年度には8割まで引き上げるという改革案も示されています。これが思惑通り進むと医療費は1.3兆円も削減できると試算されており、「8割に上げるのは17年度までに達成」という意見や、「新薬との差額は自己負担」、「風邪薬のような市販類似薬は全て自己負担にする」というのが諮問会議の民間議員の主張なのです。

金融資産に応じて医療・介護の負担を決める仕組みや、高所得者の基礎年金の一部支給停止は、政府の経済財政運営の基本方針「骨太の方針」の中心的な思想でもあるようです。