教育は将来への投資? 

大阪市 5児教育費無料化

2016.4.8

 「幼児教育の無償化」が話題になっています。

大阪市では、国に先がけ4月から5歳児の教育費無料化が実現しました。

無償化は「教育そのものへの投資」との理念からで、吉村大阪市長の英断とも評価されるでしょう。

2013年に幼児教育無償化方針が閣議決定されたものの財源難から未だ実現せず、生活が苦しい家庭の子どもの教育支援を柱とした「子どもの貧困対策推進法」2014年1月に施行されたのですが・・。

英国やフランスでは既に3歳以上のほぼ全員の幼児教育が無償化されており、 欧米では義務教育の開始年齢を引き下げる国も少なくないそうです (41日、毎日新聞)

大阪における今回の施策では、無償化の恩恵は誰もが受けられるべきという精神から所得制限は設けられていませんが、認可外保育に通園する児や「保育所落ちた」の末に余儀なく通園できない児童は対象外になっています。無償化より先に待機児童解消を優先すべきではないかという声もなくはないのですが。

 市長は、義務教育の理念として (1)機会均等、(2)教育水準の確保、(3)無償

を挙げ、201912月までの市長任期中には34歳児にも無償化を拡大する方針を示したうえで、入所希望者全員が入れるように保育所の整備も進めていく抱負を披歴しています()

 「教育は個人の労働生産性や所得を高めるための『投資』であり、幼児教育の量と質を高めることによって、考える力、忍耐力、協調性やコミュニケーション力などが養われ、子供の将来の教育レベルや所得の向上に寄与する」と考えられています。海外では、就学前教育への投資は成人後の経済状態を高めるうえで効果が高いことが実証されているのです。

 親の経済力や学歴の高さが子供の高学力や高学歴につながりやすいという「世代の連鎖」論は従来からも認められてきたことですが、25年春に実施された全国学力テストで得られた文科省 (御茶の水女子大チーム担当、約4万人抽出)の結論でも「親の年収が高いほど子供の学力が高い傾向」が証明されています。

親の経済力や家庭環境が子供の学力を左右するだけではなく、幼少期に「本の読み聞かせ」をしてもらった経験、家庭での読書や親との会話量、自ら計画を立てて勉強する学習習慣などが子供の正答率に反映するという特徴も認められています。

 教育とも躾とも言えそうですが、「嘘をつかない」、「人に親切にする」、「ルールを守る」、「勉強をする」の4つの躾を子供の時に受けた人は、所得や学歴が高くなる傾向が見られるとする調査結果もあります。就学前や小学校のときに繰り返し叩き込まれたことが「規範意識」となり、倫理観や道徳心が熟成されるからではないかと推論されているようです(神戸大ほか)

 「子供の貧困」が問題になっているのはご存知と思います。

わが国では18歳未満の6人に1人が貧困状態にあり、不十分な食生活を送っているとみられています。平均的な所得の半分以下の世帯で暮らす18歳未満の子供の割合を示す「子供の貧困率」は平成24年時点で16.3%と過去最高、OECD(経済協力開発機構)加盟34ヶ国で9番目に高い数字ですが、リーマンショックによる所得の後退後の経済危機でも子供の貧困率改善に成功した国の一つとなっています。

このような環境で育つ子供の教育レベルは低いものになりがちです。

世帯所得が低いほど朝食を抜く人も多く、運動習慣がなく、肥満の程度が強くなるなどから生活習慣病のリスクが高まることや、成人の習慣的な喫煙者の割合も世帯所得が低いほど高くなる傾向にあることが証明されています。

親から子への「貧困の連鎖」の解消は不可欠の課題

で、政府は20148月に「子供の貧困対策に関する大綱」を策定しました。

「子どもの貧困」に関するある世論調査では、「日本の子どもの貧困は問題」と答えた人が9割を超え、貧困が最も影響を与える分野として「教育」を挙げた回答が38%で最も多かったそうです。

 国連も昨年8月、「国連ミレニアム開発目標」(MDGS)2030年までに極度の貧困や飢餓を撲滅することを「国際社会の最優先課題」とすることで合意をみました。