学校給食費と義務教育

学校給食無料化のゆくえ

2016.10.28

 大阪市では学校給食費の滞納が増加しており、市教育委員会は11月から滞納分の回収業務の一部を債権回収実績のある弁護士に委託することになったそうです(1024日、産経夕刊)

文科省の調査では、全国の公立小中の未納額は推計で約22億円、背景には、保護者の責任感や規範意識などモラルの低さがあるのではとみられています。

 大阪市の滞納総額は小中学校合わせて1億円超、滞納額は全国の中でも多いとみられ、このような業務に弁護士を起用するのも政令指定都市では初めてと報じられています。

 督促は支払い能力があるのに再三の催告に応じない悪質な保護者が対象とされ、27年度1年間の新規滞納額は給食費全体の1.3%にあたる約8600万円で、約5700円だった26年度の1.5倍に達したということです。滞納には経済的理由も少なくないようです。生活保護受給世帯は給食費の全額支給、経済的困窮家庭に対しては2分の1支給の制度がありますが、24年度から中学校でも段階的に給食を導入したことが滞納額膨張の背景になっていると分析されています。

 最近では学校給食を無料にする自治体が増えており、少子高齢化や人口減少に悩む自治体が子育て環境を充実させ、移住者を増やそうという政策の一つとして実施しているものとみられています(721日、毎日)。全日本教職員組合の調査によれば、給食費の補助制度があるのは回答のあった1032市町村の19.3%199、全額無料は44自治体となっています。

  憲法26条では、小中学の義務教育は「無償」となっているものの、教育基本法では無償は授業料だけとされ、学校給食法では、給食施設の整備費や調理員の人件費は設置した自治体、それ以外は保護者の負担となっているようです()

 義務教育におけるこれらの費用分担に関して、「義務教育」なのだから給食費無料は当然として支払い拒否を貫く滞納家庭もみられます。

 義務教育にかかわる全ての費用は無償化すべきとする意見もなくはないのですが、自治体財政との調整も含め議論を要する点だと言えるでしょう。

 無償化に反対する意見の中には、子供のいない家庭や高齢者世帯には恩恵がないとする声もあるようですが、多額の育児費用の負担を受けて成長した子供たちがやがては国や高齢者を支えることを思えば、こういった意見には違和感を覚えます。日本の教育への公財政支出がOECD(経済協力開発機構)加盟31ヵ国中最下位であることを思えば、給食費無料化の議論にも答えが出るでしょう。