健康に気を付けてこの一年を過ごしましょう!

身もふたもない噺?

2017.1.17 

 インフルエンザの流行が拡がっています。シーズン当初に予想されたほどには急速な流行にはなっていないようですが、体調を整えるとともに、マスク、手洗いの励行、ワクチンを済ませていない人は一刻も早く接種を急ぎましょう。

新年早々に説教じみた話も恐縮ですが、日経新聞は1月4日から8回にわたり「予防医療で医療費を減らせるか」というシリーズ記事を載せています。

 結論から先に言えば、禁煙対策、メタボ健診、ロコモ予防対策、ガン健診などいずれの予防医療も、短期的には医療費を少し削減することはあっても長期的には医療費・介護費を抑制できず、必要な医療費のタイミングの先送りにすぎないというのです。この説は論者のみならず、医療経済学の専門家の共通認識であると解説されています。

 

生活習慣病の発症を遅らせることは、国民の健康レベルを維持・改善することが確かなので今後も推進されるべきではあるものの、メタボ健診が長期的に医療費を削減するという根拠はなく、「メタボ健診によって25年には約2兆円の医療費を削減」せんとする厚労省の目標にも学問的根拠がないことにも触れています。

 各種健診によって医療費の短期的節減は認められるものの、健診効果で寿命が延びる結果、一生涯の総額で見れば医療費・介護費が余計にかかってしまい、医療費の抑制につながるわけではないというのです。

医療関係者も含め、一般国民の従来の認識に逆らうようなこの説には解しかねる部分も少なくないのですが、聞きようによっては、早く死ぬことが医療費削減の切り札と言うが如き切り口なのです。

 この論評の中でも述べられていますが、平均寿命と健康寿命の間には、男性9.13年、女性12.68年の差があります。健康寿命というのは、単に寿命を伸ばすのではなく健康に長生きすることを重視する考え方に基づき、WHO(世界保健機関)00年に提唱した概念で、2013年の健康寿命は男性71.19歳、女性74.21歳で男女とも世界1位だったそうです。

死亡するまでのこの「不健康な期間」は、日常生活に支障がでる病気にかかって医療や介護のお世話になることになりますから、厚労省は「平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加」を実現することらよって医療・介護費を節減できると考えているようです。

喫煙の害についてはこの欄で繰り返し述べて来ました。喫煙による損害として、WHO(世界保健機関)はたばこが世界経済に与える影響について、健康被害での医療費などで年間1兆j(116兆円)以上の損失、喫煙を原因とする死者は現在の年間600万人から2030年には800万人に、特に喫煙人口が増加傾向にある途上国での被害が深刻という報告書を発表しています(111日、産経)

2014年には米国で「年間50万人が喫煙に関連する疾患で死亡、約1600万人が健康を損ねるなどで、毎年3千億j(30兆円)近い経済損失」という発表、しかもたばこはガンだけではなく心臓病や高血圧をも引き起こすので、日本でも、約20万人の死因となっています。

肺がんを初めとして喉頭がんや膀胱ガン、頭頸部ガンなど8種類のガンのリスクが喫煙によって高まるとされ、喫煙者が何らかのガンにかかるリスクは非喫煙者の1.51.6倍になるといから恐ろしい話ではありませんか。

「禁煙対策は絶対に推進すべき」とこのコラムで述べられているものの、禁煙対策が長期的にはむしろ医療費を増やすのではないかという内容です。ここでは詳しく触れませんが、禁煙で長生きする結果、たばこの直接的な害はともかく、高齢になるに従い、がん、心筋梗塞などたばこ関連疾患にかかる機会がそれだけ増えて、生涯の医療費や介護費の総額を押し上げることになるという論法です。

予防医療の最たるもの「予防接種」はどうなんだと反論したくもなります。ワクチン代や接種手技料などのコストを考えれば、たとえ予防接種を受けてなくてもその病気にかかることがなければ費用総額は、結果として接種しない場合の方が安く済むという理屈になりますが、感染リスクと安心料を勘案すれば接種しないで様子を見るという選択肢はないでしょう。

長寿によって、食費、娯楽費などの生活費がそれだけ余分にかかることは避けられないものの、人生を楽しむという何ものにも代えがたい長寿の慶びを享受できるわけで、長生きに伴う功罪は当然のことと人は割り切って健康増進を図っているはずなのです。