温暖化 と 蚊の跳梁跋扈

2017.6.27

 

いよいよ鬱陶しい蚊のシーズンの到来です。「跳梁」とは「わがもの顔にのさばる」こと、「跋扈」は「のさばり、はびこる」こと(広辞苑)で、飛び交う蚊の忌ま忌ましさを表すのにピッタリとは思いませんか?地球温暖化と人々の交流の世界的な広がりなどによって、蚊媒介感染症の脅威が拡大しています。

2014年7月8日の本欄では「最も恐ろしい生物は?」と題して、様々な生物の影響で人間が命を落とすなかで最大の敵は『蚊』(第2位は「人間」)で、年間72万人が蚊のもたらす感染症などで死亡しているというビル・ゲイツ氏の分析を紹介しました。

その2か月後、東京の代々木公園で「デング熱」がはびこり大騒動になったのも記憶に新しいところです。また、昨年2月には、ブラジルを震源とした「ジカ熱」流行が起こってWHOが「緊急事態宣言」を、わが厚労省はジカ熱を「第4類感染症」に指定したうえで報告の義務付けを決めたのも、蚊のシワザのせいなのです。

この両疾患とも「ネッタイシマカ」によって媒介されるのですが、ジカ熱は日本に生息するヒトスジシマカも媒介能をもっているため油断はなりません。

蚊媒介感染症、わが国では「日本脳炎」が恐れられてはいますが、蚊が媒介する感染症で一番問題となるのは、世界的にはなんといってもハマダラカなどが媒介する「マラリア」でしょう。

マラリアMalaria「世界3大感染症」(残りはエイズと結核)の一つで、毎年2億人以上が発症、63万人以上も死亡する(一説には150270万人)恐ろしい病気なのです。5歳以下で感染すると20%以上が死ぬといわれています。

1980年代からワクチンの開発が進められては来たのですが、マラリアの原因となる原虫の蛋白質は変異しやすいために開発にいたらず、大阪大学の堀井教授らが2015年から西アフリカでマラリアのワクチンの臨床試験を進めているので、世界初のマラリアワクチンの実用化もそう遠い話ではないかも知れません

地球温暖化に伴い、年間の平均気温が11℃以上が生息域と言われているヒトスジシマカ、温暖化が進みデング熱など熱帯の感染症を媒介する蚊の生息域が拡がって、今後は、北海道南部にも及ぶのではないかと危惧されています。

日本でも、毎年百数十人のマラリアの報告がありますが、渡航者が海外で感染して帰国し発症したという例だけで、今後は、温暖化により日本の亜熱帯化が進むとすれば、マラリアの流行も予想しておく必要があるのかもしれません。