「食」の安全と 食育の大切さ

南港桜幼稚園 園医
浜本小児科院長  浜本 芳彦



 園庭では子どもたちの元気な声がはずんでいます。春に入園してきた園児たちも、園生活に少しは慣れて落ち着きを取り戻してきたことでしょう。

 この冬は、年末に日本各地でノロウイルスの流行が話題になり、インフルエンザの流行も例年より長引くなど、感染症に関しては話題の豊富なシーズンとなりました。

 感染性胃腸炎は、冬に流行(はや)るウイルス性のものに代わり、これから暑くなるに従って細菌性の食中毒が目立つようになりますから、「菌をつけず、ふやさず、ころす」という食中毒予防の三原則を忠実に守っていただきたいと思います。

食べ物に付着した細菌は、夏の高温下では5〜6時間で急激に増えて食中毒を起こすレベルに達しますから、夏のお弁当や食材の取り扱いには特に気を配ることが大事でしょう。

「食の安全」

 狂牛病(BSE)や鳥インフルエンザをはじめ、「食」の安全ということが今ほど話題にされる時代はかってなかつたのではないでしょうか。

残留農薬や家畜用抗生物質の乱用、産地の問題など、食の安全や信頼性が問題にされることも少なくありません。食について国民の関心が高まることはある意味では良いことです。

 牛などの生産履歴の追跡をトレーサビリティーと言いますが、どの親から生まれ、どこでどのようなエサで育てられたか、農水省は生産から販売までの情報を消費者に伝える生産履歴システムの普及に向けても力を入れ始めました。

生産履歴の表示については、牛肉だけは法律で義務付けされていますが、今後は肉、魚、野菜などの生鮮食品を中心に数十品目が対象になる予定です。


「食育」の大切さ

このように「食の安全」に対する関心や健康志向が高まるとともに、子どもたちの食生活に対する配慮、食の大切さを教え考える「食育」の大切さも重要視されるようになってきました。

小泉首相は2年ほど前の所信表明演説でも、知育、徳育、体育に加えて「食育」の推進を訴えていますが、文部科学省も、指導の中核になる「栄養教諭」の創設を進めようとしています。

その背景には、「偏食」、「孤食」や「欠食」など子どもたちの食生活の乱れが深刻になってきた点や、ハンバーガーなどのファストフードやスパゲッティなど、余り噛まなくてもすむ物だけを好んで食べる傾向が、顎や知能の発育に影響するという懸念をあげることができます。

さらには、肥満傾向の児童生徒や、食物アレルギーを有する子どもが増えてきて、食の指導が生活習慣病の予防にも欠かせないことにも注目しておく必要があるでしょう。

小児肥満と生活習慣病の予防

最近の子どもは、肉など動物性脂肪とか、おやつや夜食も(と)りすぎている上にテレビゲームなどに熱中する結果、運動不足が重なって血清コレステロールも高くなる例が少なくないようです。事実、子どもの肥満はコンピュータ・ゲームのブームに火がついた1985年ころから目立ち始めたと言われています。

脳にある満腹中枢は血糖値の上昇によってコントロールされていますが、早食いは満腹感が得られる前に食べ過ぎてしまう傾向が強くなります。ゆっくりよく噛んで食べることが大切です。

冗談交じりに「オカアサンハヤスメ、ハハキトク」に気をつけることが大切と言われるように、オムレツ、カレー、アイスクリーム、サンドイッチ、ヤキソバ、スパゲッティ、目玉焼き、ハンバーグ、ハムエッグ、ギョーザ、トースト、クリームスープの偏食を正すことが、生活習慣病を予防する上でも必要でしょう。

食育と一口に言っても簡単なことではありません。子どもの食の重要性を問い直し、幼稚園、学校と家庭が連携して食のしつけと教育という日常的な努力を積み重ねていくことが大切ではないかと考えられます。




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