少子化の背景に「子育てに対する経済的不安

− 平成17年版 国民生活白書 「子育て世代の意識と生活」 が報告

 

8月12日に閣議報告された平成17年版 国民生活白書「子育て世代の意識と生活」において、少子化の要因を家計面から分析して、その背景には「子育てに対する経済的不安」があることが指摘されています。

雇用環境の悪化から、若い世代に低所得層が増えていることが指摘されており、子育て世代(20〜49歳)の所得の分析では、年収400万円未満の世帯では子どもを持てない傾向が強いことが明らかになりました。

夫婦の望む「理想の子ども数」は過去20年間、「2.5人」程度とほとんど変動していないのに、実際に夫婦が予定している子ども数は「2.13人」と減り続けているのは、子育てに伴う経済的負担や社会環境への不安などがあると白書は指摘しています。

事実、62.9%の人が「子育てや教育にお金がかかりすぎる」ことを、理想どおりに子どもをつくれない理由にあげています。

総務省の家計調査をもとにした分析では、一人の子どもを育てる費用は1,302万円となり、特に教育費の割合が528万円と高くて負担が大きいことが問題にされていますが、以前に行なわれた民間の試算では、幼稚園からすべて私立で通した場合には教育費だけでも4,400万円は必要なんだそうです。

子育てでいったん離職すると、正社員として再就職することが難しく、正社員のまま働く場合に比べてパートを続けながら子育てしたケースでは、生涯収入が8割強も少なくなって、両者の差は2億円強に達する不利益が発生することになります。

 わが国の景気は、GDPも3期連続してプラスとなって回復基調にあり、景気の踊り場を脱却しかかってはいるのだそうですが、その背景にはリストラや正社員のパート化・派遣社員化が進められている影響も無視できません。

白書でも指摘されているパートやアルバイトで生活する低所得の若年者の増加は、子育て期にある年代の所得の伸び悩みを裏付けたかっこうになりました。

少子化の要因が、80年代の「結婚しない人が増えた」という非婚要因から、90年代に入ってからは、経済的な理由で「夫婦が子どもを持てない」という非出産要因の比重が高まった事実は注目すべき傾向といえるでしょう。

 また白書では、「親が子どもの経済的な面倒をみてもよいと考える期間」が長期化し、子離れが遅れている実態が浮き彫りにされ、子育て世代に対する親の金銭的支援が重要な役割を果たしている事実が明らかにされています。

 産経新聞が集約した白書のポイントは、

(1)      子育て世代の所得格差を固定化させないため、体系的な職業訓練や、パート・アルバイトと正社員の間の不合理な賃金格差是正が必要。

(2)      子育て支援サービスの安価な提供や、育児休業制度の積極活用、子育てが一段落した女性の再就職支援など、出産、子育てが不利にならない仕組み作りが重要。

(3)      子育ての社会化」に向け、地域における支援活動の認知度向上や、運営主体となる民間非営利団体(NPO)の財政基盤確保を進めるべきだ。



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