地球温暖化 と 梅雨明けの遅れ


各地から豪雨被害の報道が寄せられています。

誠に痛ましい限りで、被害に遭われた方々には心からお見舞い申し上げます。

もうすぐ8月というのに、梅雨明けの声が聞かれないのはどうしたことなのでしょう。

冷夏ともいえる程にしのぎやすいのは何よりですが、一方、ヨーロッパでは熱波の襲来によって、フランス、スペインなどでは31人の方が命を落とされているようです。

 ドイツ東部では、7月20日に38.8℃と観測記録を更新したとも報道されており、この熱波はまだ当分続くものとみられています。

 地球温暖化が進むと梅雨明けが遅れ、日照不足になるという学説があります。

気象庁気象研究所の研究では、温暖化によって、東日本では5〜10日、西日本では1ヶ月近くも梅雨明けが遅れ、場合によっては梅雨が明けないままに立秋を迎えることもあるとのことです。

 温暖化によって海面水温や大気の循環などが変わり、気流の変化の関係で、7月下旬に日本に運ばれてくる水蒸気が増えるのが原因ではないかと考えられています。

 今年の梅雨明けが遅れているのが地球温暖化のせいなのかどうかは分かりませんが、この数十年で梅雨前線が活発化し、雨量が増えていることだけは確かなようです。

「京都議定書」という言葉が、新聞によく登場します。

「京都議定書」は、地球環境の保全と、温暖化がもたらす気候変動を防ぐために、1997年の地球温暖化防止京都会議(第三回気候変動枠組み条約締約国会議)で採択され、05年の2月16日に発効した 「温暖化防止への初の具体的取り組み」 のことです。

 議定書の発効によって、先進国には、二酸化炭素(CO2) など地球温暖化ガスの排出削減が義務づけられることになり、日本は、1990年度比で6%の削減、2003年度の実績(減るどころか逆に8%も増加)からは14%の削減が求められています。

 省エネだけでは達成できない削減目標のうち、約束達成に届かなかった削減量を他国の排出量でまかなって自国に用いることを認め合う「京都メカニズム」という制度も取り入れられています。

これは国同士の事業実施や、国際排出量取引など、排出権を融通しあうシステムです。

  大気中に排出されたCO2は、1週間で地球を一周し、数十年から数百年単位で大気に留まるため、その影響は全世界に、そして超長期におよぶグローバルな、人類全体の大問題となることが避けられないのです。

 地球温暖化は、「大量生産、大量消費、大量廃棄」 のつけが回ってきた結果であり、われわれの生活や消費、生産のあり方そのものを改めて問い直し、新しいライフスタイルの構築を図ることが求められていると言えます。

温暖化ガスの問題は複雑で、全ての人々が被害者であると共に加害者でもあるという構図ゆえの難しさから逃れることはできないでしょう。

ガス排出削減には、政府や自治体だけではなく、企業、そして国民一人ひとりの取り組みが欠かせません。昨夏から進められている「クールビズ」や、冷房の上限を28℃に設定するだけで事足れりというのでは余りにも寂しい感じが致します。

世界最大の排出国の米国では、ガソリン消費の抑制が社会生活に深刻な影響が出るとして温暖化対策に消極的ですし、ブッシュ大統領をはじめ歴代政権は、科学的に不明な点が多いという理由で、京都議定書への署名を拒否し続けています。

また途上国は削減義務そのものを負いません。

しかし、そのおひざ元の米政府機関の有力気象学者らは、「人間の経済活動が生み出している温暖化ガスが、地球温暖化を引き起こしていることに疑いはなく、今世紀末まで地球の平均気温は上昇し続ける」 とする見解を、03年に発表しています。

この研究では、1990年から2100年までの110年間に、「90%以上の確率で、地球の平均気温が1.7〜4.9℃も上昇する」という予測が示されています。

1℃や2℃なんてたいしたことはないと思われるでしょう。

しかし、世界の年間平均気温はこの100年で0.6℃上昇しただけですが、既に氷河の流出と後退が起こっています。

今から1万年前の最後の氷河期には地球は氷で覆われていたものの、氷河期が終わる頃の平均気温は今よりも5℃ほど低かったにすぎないと言われています。

より良き地球環境を未来に受け継いでいくことは、今に生きる者の使命でもあり、そのために先進国と途上国が協力して、世界全体で温暖化ガスの削減に取り組むことが不可欠になります。

しかし、より便利なもの、より快適なものを求め続ける現代社会においては、エネルギーや食糧の節約は生活水準の低下という「痛み」を伴いますので、温暖化防止のために皆で協力するということは言うほどに簡単なことではありません。

政府は昨年の6月に、京都議定書で義務づけられた温室効果ガスの削減目標を達成するためには、一般家庭で、毎月の電気代やガス代をどれくらいに抑えればよいかという試算をまとめて発表しています。

「省エネ」を進めるために、分かりやすい「数値目標」を示して「国民行動」の目安としたいというものですが、この目標値を国民に広く知らせる努力も十分とは言えない現状では、省エネの掛け声も、絵に描いたもちに終わりかねないでしょう。

毎日新聞社が数年前に行った全国世論調査では、74%の人が「地球温暖化は、直ぐ生活に影響すると感じている」と答え、政府の温暖化対策は「十分でない」と答えた人もほぼ9割に達したということですが、言うは易く行うは難しで、意識の割には取り組みが十分ではないようにも感じられます。

では、地球温暖化が進めばどういうことになるのでしょう?

(1)グリーンランドなど陸氷がとけると海面の上昇をきたします。

このままの温暖化傾向が続けば、今世紀末までに海面を10a上昇させ、もし温室効果ガスの増加が21世紀末で止まった場合でも、数千年後にはグリーンランドの氷は消えて海面は6b上昇し、東京の埋立地や下町は完全に水没するものと予想されています。

(2)海水温が1〜2℃上昇するだけで、21世紀末には、世界のほとんどの海でサンゴ礁が死に絶えてしまうことが懸念されています。

(3) 環礁やマングローブなどの沿岸生態系に被害が及ぶだけではなく、海面上昇により、インド洋、カリブ海などの島しょ国は沈没するでしょう。

(4) 02年の欧州、05年の東欧を襲った豪雨と洪水、昨年米国南部を襲った超大型ハリケーン「カトリーナ」、昨年12月の東北・北陸大雪 など多発する異常気象や自然災害は地球温暖化の影響ではないかと危惧されています。

(5)平均気温が1℃上昇すると、コメ、小麦やトウモロコシなどの穀物の収穫量は10%減少するという研究結果があり、穀物価格の上昇で、穀物輸入国、特に日本のように7割を輸入に頼っている国の打撃は深刻なものになります。

環境省がまとめた「地球温暖化の日本への影響2001」という報告書には、

「温暖化に伴う気候変動とその影響は確実に進行し、30年後には危険なレベルに達し、その後加速する」 という警告が発せられてい.ることを肝に銘じておきましょう。


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