もったいない

 「もったいない という言葉はとうの昔に死語になった感がありますが、2004年のノーベル平和賞受賞者で ケニアの女性環境活動家 ワンガリ・マータイ氏によって見事に蘇生したのです。

マータイさんが提唱する「MOTTAINAIキャンペーン」に呼応して、福島県を初め、神奈川県、山形県などでも「もったいない」をキーワードにした環境キャンペーンを展開しています。

政府も、リデュース(ごみ減量)、リユース(再使用)、リサイクル(再利用)のR運動を推進して環境施策の拡充を図ろうとしています。

 この大量生産・大量消費の時代に、「もったいない」 という感覚は、特に若い人々にとって、素直には受け入れられないことも否定できない現実です。

しかし、かつて80%を超えたこともあったわが国の食料自給率は今や約40にすぎず、1989年に50%を割りこんでから、98年以降は8年連続40%と横ばい状態が続いているのだそうです。

みそや豆腐の原料として欠かせない大豆にいたっては、3%に過ぎないと聞かされたら本当に大丈夫?と言いたくなるでしょう。(ただし、国産大豆にこだわる人が少なくない豆腐や納豆に限れば約30%は国産大豆を使用)

政府は、2015年度までに自給率を45に高めるという目標を掲げていますが、とても達成できるような値ではないというのが現状です。農業の担い手は年々減り続け、耕作放棄地は過去10年間で6割も増加したと聞かされれば、この目標値をクリアすることがいかに難しいか分かろうというものです。

(自給率はカロリーベースで計算されていますが、重量ベースや生産額ベースで算出すると違った数字になります)

ところが、わが国の食べ物の約3割は食べ残されたり、捨てられたりしているというのです。

全く「もったいない話」ではありませんか。

食品産業から出される食品廃棄物は現在、1,100万dに達し、01年に施行された「食品リサイクル法」は、外食産業やコンビニ、スーパー等から廃棄される生ごみを20%削減するよう義務づけています。

BSEや鳥インフルエンザ事件で分かるように、輸入がストップして供給が断たれると、たちまちにして影響が拡大するのがわが国の食糧事情の現実なのです。

食の安全とともに、安定的な食料確保 「食料安全保障」 の枠組みが叫ばれるのもこういった背景があるからです。

このように海外に食料生産を依存せざるをえない背景の一つに日本人の主食であるコメの消費量が落ち込んでいるという事情もあるでしょうし、食生活の欧米化という

日本人の食文化の変化も作用していることも否定できません。

 「フードマイレージ」という概念がありますが、これは食料の輸送量にその運搬距離を掛け合わせた数値のことで、消費者に食料が届くまでにどれくらいの輸送エネルギーが使われているかの指標に当たります。

 この数値が大きいほど食品を手に入れるのに負荷がかかっていることを意味し、ぜいたくな食事をしていることになります。

 日本のフードマイレージは01年で約9千億d、米国の約3倍にあたり世界最大となっています。

 こんなわが国ですら、海外の高級志向の影響を受けて農産物の輸出が徐々に伸びてはいるようですが、輸入額から輸出額を差し引きした輸入超過額は396億jで、世界一の農産物輸入国を独走しているのだそうです。

 政府は昨年、食育基本法を制定し、これに基づいて本年度からは「食育推進基本計画」をまとめ、「朝食を抜く小学生をゼロに」などの目標を掲げて食育を推進しようとしています。

この食育を推進して、バランスのとれた食習慣を教え込むための「栄養教諭」が置かれるようになって2年目になりますが、文部科学省の調査では24道府県で307人どまりと配置は余り進んでないようです。

食育を進めるにあたっては、食べ残しをしないように「もったいない」の精神を身につけさせることも大切な課題の一つと言えるでしょう。


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