少子化のゆくえ G

 わが国は2005年に死亡数が出生数を上回って、人口減少社会を迎えることになりました。

ところが、2月21日に厚生労働省の発表した06年の人口動態速報(速報値)によれば、出生数は1,122,278人と前年を約32,000人も上回り、人口は26,885人もの自然増加を、合計特殊出生率も過去最低の051.26から1.3にまで回復するという可能性すら出てきたというのです。

 この増加は、団塊ジュニアと呼ばれる第二次ベビーブーム世代197174年生まれ)が支えてきたもので、景気の回復や雇用情勢の好転も後押ししたのではないかと分析されています。

 しかし、この傾向がずっと続くようなら誠に喜ばしい限りなのですが、増加は一時的な現象で、直ぐまた尻すぼみになるのではないかというのが一般的な見方のようです。

 現在の人口水準を維持する(人口置換水準といいます)のに、出生率は2.08を必要としますが、厚労省・社会保障審議会の人口構造変化部会が先ごろ示した見通しによると、結婚や出産に関する国民の希望が最大限にかなうなど、様々な少子化対策が功を奏したとしても、出生率は最高1.76までしか回復することはなく、2055年の総人口は最大で1億人を維持できるかどうかというのです。

 この数字は余りにも楽観的、ご都合主義の極致ともいえるもので、あくまでも厚労省や政府の願望でしかすぎません。なにしろ昨年発表されていた将来人口推計値では9千万人を割りこんだ数字が示されていた筈で、こちらのほうが現実味は強く、2055年の総人口1億人は、年金制度の破綻から国民の目を逸らすためにひねり出された錬金術師の手練手管の如きものとも言えそうです。

 この希望的な推計値を達成するにしても「少子化対策が最も有効に機能した時」という大前提がついているのですが、そのためには、育児休業制度の拡充など子育てしやすい就業環境の整備や、親が望んでいる子ども数を現実のものにできる施策など、人口構造変化部会も報告書で謳っているような政策を強力に推し進めていけるかどうかにかかっています。

このように子育て支援の重要性はますます高まっており、安倍首相も「少子化問題は国の最重要課題の一つであり」、「子どもは国の宝、少子化に対して本格的な戦略の構築が必要」と施政方針演説の中で言及しています。

 さらに、2月に初会合が開かれた「子どもと家族を応援する日本重点戦略検討会議」(少子化対策重点戦略検討会議)でも、「内閣の総力を挙げて取り組む」と表明、首相持論の ワーク・ライフ・バランス(仕事と家庭の調和)の検討とともに、「働き方の見直しなどによる育児と仕事の両立支援」や、国民が抱く将来不安の除去、夫婦の家事分担などによる育児負担の軽減などが盛り込まれています。

これらの検討課題は6月中に基本案が策定されて政府の「骨太の方針2007」に、さらに税制改正論議を踏まえて「重点戦略」が年内にも策定される予定となっています。

 


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