子どもの安全を どのように守りますか?

 子育て支援」が叫ばれ、「安心して子どもを産み、育てる社会」の大切さが説かれる一方で、子どもを取り巻く環境はだんだん悪くなってきているように思われます。

集団下校児の列に自動車が突っ込むかと思えば、遊園地のジェットコースターは転覆事故を起こして死者まで出る始末、家の中なら安心かといえば、シュレッダーで指を切断する事故やガス湯沸し器による中毒事故被害が頻発し、トイレの温水洗浄便座が突然発火、食べ物についてもBSE(牛海綿状脳症)や残留農薬などの安全性の問題など、気が休まる空間は身の回りには今やどこにも見当たらない状態になってしまっています。

子をもつ親は不安にかられて常にイライラ、挙句には親が子どもから目を離すからだと親の責任論の張本人に仕立てられては、鬱憤のもって行き場所も見当たらないことでしょう。

目と神経の届く範囲に子どもの数を抑えようとするインセンティブ(動機)がはたらいても何ら不思議ではないのです。

事故の中には親のちょっとした注意で防げるものもない訳ではありませんが、回転ドアやエスカレーター事故などを見てもわかる通り構造的な問題も少なくなく、子どもというものは突拍子もない行動に走るものだという前提に立てば、「フエイル・セーフ(多重安全)の原則を重んじて、二重にも三重にも安全対策を積み上げておくことが必要ではないでしょうか。

気をつければある程度予防できる事故もあるとはいえ、誘拐や事件に巻き込まれて行方不明になる子どもはいっこうに減らず、子どもが狙われる凶行は後を絶ちそうもありません。

こういう状況の中で、「安心して子どもを産み、育てる社会」を唱えたところで、素直に肯くことのできる親はそうはおられない筈です。

 埼玉、神戸、奈良など小児性愛に基づく一連の殺人事件にとどまらず、平成13年6月に起きた大阪教育大附属池田小事件は、本来安全であるべき学校も決して安心できる場所ではないということを如実に示した出来事です。

昨年2月に長浜市で起きた登園中の幼稚園児が刺殺される事件にいたっては、子どもの安全対策のために付き添っていた別の園児の母親による犯行によるものでした。

通学路や学校でさえ決して油断のならない場所の一つになってしまったのです。

子を持つ親にとって、一体なにを信じたらいいのかという心境にさせるのに十分な事件の数々ではありませんか。

13歳未満の子どもに対する性犯罪者のうち、出所後の再犯率は2割を超え、13歳以上に対する性犯罪者の再犯率と明らかな差があることが17年度の犯罪白書で示されています。

また年少期に動物を虐待した人はそうでない人に比べて児童虐待など暴力的犯罪に走る確立が高いこともアメリカの動物愛護団体などの調査で分かっている事実です。そういった意味で、年少期の動物いじめには注意が必要といわれ、このような連鎖を断ち切るための「ファーストストライクキャンペーン」が展開されています。

動物や自然に親しみ、動物を可愛がる習性を小さなときから養っておくことの大切さは言うまでもありません。

2年前の文部科学省の調査によれば、子ども対象の防犯訓練を予定している学校は85.3%、教職員対象の訓練予定校は89.0%に上り、学校独自の危機管理マニュアルも91.2%で整備されて、安全対策に取り組む学校が増えたことも分かっています。

また全国の幼稚園と小中高校の32.7%が子どもに防犯ブザーかベルを配布または貸与し、45.4%の学校が防犯カメラやセンサーなど不審者対策の監視システムを整備しているそうです。

大阪教育大学附属3校では06年7月から、「お守りキッズ」という携帯電話のGPS機能を利用した児童の登下校時の位置情報をパソコン上で3分毎に追跡確認するシステムの実証実験を始めています。

KDDI(au)も本年1月から、緊急時に子どもの足取りを確認できる防犯機能を強化した新端末機とシステムの供用を開始していますし、NTTドコモはキッズケータイSA8001を、ソフトバンクモバイルもコドモバイル812Tを発売してコドモが危険な目に遭った場面を想定して対応可能な機能を備えた機種を充実させています。

出会い系サイトなどへのアクセスなど携帯を通じて犯罪に巻き込まれるケースや携帯電話の乱用など、子どもが携帯電話を持つことの是非については未解決の議論が残されていることも否定できませんが、GPS機能などを通じて子どもの安全を守る働きも無視するわけにはいかないでしょう。

総務省消防庁も携帯電話で119番通報した際に、「位置情報」が瞬時に画面表示されるシステムをこの4月から全国41消防本部で導入しているそうです。



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