蝉しぐれ  夏休みも中盤に

                                                       2010..10

 うだるような猛暑は衰えることなく、世界各地で異常気象が続発しています。

 

猛暑と干ばつのダブルパンチに見舞われたロシアでは、穀物の2割が壊滅状態となり、プーチン首相は年末まで穀物類の輸出禁止措置をとりました。そのため、小麦価格の国際指標となるシカゴ市場は高値水準に留まっています。

異常気象の影響は日本国内にも波及し、野菜価格は高騰してニンジンやキャベツなどは前年同月比4割前後も上昇しているようです。

ロシアでは涼を求める市民の水死者が後を絶たず、6、7月に全土で計約1900人が水死したと報じられています。

一方南半球の南米諸国は記録的な寒波に襲われ、暖房の不完全燃焼による一酸化炭素中毒などで死者は200人を超えたということで、市民生活に深刻な混乱が起きている模様です。

 このような異常気象は先週にも触れた「偏西風の大蛇行」が主因とみられていますが、太平洋東部熱帯域の海面水温が低くなる「ラニーニャ」現象も予想されるところから猛暑や豪雨がさらに多発するのではないかと警戒されています。

 

 蝉しぐれといえば響きはいいのですが、クマゼミの早朝からの大合唱についつい目覚めてしまう毎朝です。蝉といえば、鳴き声がその夏に初めて観測される「発鳴き」の時期が数年前から平年より早まっている事実が確認されています。

クマゼミは西日本を主な生息域としていますが、北陸から関東南部が分布の北限とされてきたクマゼミの抜け殻が東京周辺でも観察されるようになったのも最近の傾向で、高温のせいか、セミの生息地にも少しずつ変化が起きていることがうかがわれます。

昔にくらべてクマゼミが増え、アブラゼミが減少傾向にあることは数年前から観察されていたことです。

ヒートアイランド現象などで気温上昇の激しい都市部の環境にアブラゼミが弱いということだけではないようです。都市部の緑化が回復して飛来する野鳥も増えたため、襲われた時に高い飛行能力を活かして速く飛び去るクマゼミに対して、アブラゼミは近くの別の木に隠れる程度で野鳥から身を隠すことが不得手なために、野鳥に捕食される機会が多くなるという2種のセミの回避行動の違いが個体数の割合の激変につながっているのではないかという推察もなされているようです(大阪市環境科学研究所、高倉耕一研究員、平成20年)

 

 変わってきたといえば、セミの生態だけではなく、セミ取りに興じる子どもの姿もトンと見かけなくなりました。自分の子ども時代と比べて余りの違いに戸惑いさえ感じることが少なくありません。最近の子どもはセミ取りどころかセミに触ることすら怖がる子も少なくないようで、昆虫採集などとんでもないということになります。

 クマゼミといえばセミの王様、目の色を変え長いサオを振り回していた幼き時代が懐かしく思い出されますが、今は、樹という樹に、それも根元近くまでにも鈴なりになって留まっている姿も珍しくはありません。暑さのせいで生体数が増えたこともありましょうが、子どもという狩猟者や天敵が激減して捕まえられる危険がなくなった安心感のなせる結果なのかも知れません。