「混合診療」 って聞かれたことがおありですか?

 最近、新聞などで「混合診療」解禁という言葉がよく出てきます。

わが国の医療保険制度では、医療保険でカバーできる診療行為が決められており、その範囲内でしか保険診療は行えません。

もし保険適用の範囲外の検査や治療を行った場合には、保険の対象となっている診療行為もすべて患者さんの負担で行うこととなっており、保険の対象となっている部分だけ保険でみて対象外の治療費を患者さんから別途徴収することは禁じられているのです。このような保険の範囲内の診療と範囲外の診療を併用することを「混合診療」と呼んでいます。

禁じ手の混合診療にも「特定療養費制度」という例外があって、差額ベッドや一部の高度先進医療などは患者さんから費用を徴収してもよいことになっています。

最新の検査や治療など、将来は保険の適用になるかもしれないけれども今はまだ保険に採用されていない診療などを受けたいと思っても全額自己負担というのでは二の足を踏むことになりかねないので、この混合診療を認めるようにすれば、保険の適用範囲外の診療を負担するだけで最新の高度先進医療の恩恵を受けられることになり、一見好ましいことのように思われます。

しかし、この負担にたえられる者だけが最新の良い医療を受けられ、余裕のない人は我慢するしかないということにでもなれば「医療の公平性」が失われることになり、さらには、もともと保険でみてもらえた診療行為までが保険の範囲外にされれば自己負担だけが増えるという結果になりかねません。

日本医師会はこの点を懸念して、混合診療の導入に反対しているのですが、政府の「規制改革・民間開放推進会議」は規制緩和の象徴としてこの「混合診療」を2004年度中に解禁しようとしています。

一方、厚生労働省は、保険外診療が拡大することによって本来は保険適用すべき行為も認められなく恐れがあるとして反対し、現行の特定療養制度の拡充で対応することを軸に、混合診療は「原則規制・例外自由化」で臨む姿勢をとっています。

混合診療の解禁が進み本来は健康保険で取り扱われるべき診療行為までが保険の対象からはずされ、私的な民間保険がそれをカバーするようになるという懸念がもたれます。増大する医療費を抑えようとする意図が働く限り保険の対象となる部分は縮小し、「誰でも、いつでも、どこでも安心して医療を受けられる」という国民皆保険の利点が崩壊する恐れが高まることになるでしょう。日本医師会は以上のような理由から、「国民皆保険制度を守る署名運動」を展開して国民の協力を求めようとしています。



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