少子化にどのように対応したらいいのでしょうか?

少子化の流れはとどまることを忘れてしまったように見えます。

さまざまな少子化対策が講じられてはいますが、出生率は一向に上向く気配が見られません。

国も手をこまねいていたわけではなく、エンゼルプランや少子化プラスワンとかを立案し、次世代育成支援対策推進法や少子化対策基本法などの法整備を進めてはいるのですが。

なんとか出生率を上げようとする姿勢は認められますが、努力とはうらはらに、子どもの数は減り続ける一方です。

エンゼルプランなどが進められた10年間で、合計特殊出生率は1.5から1,29まで低下してしまいました。何とも皮肉なこととしか言いようがありません。

児童手当の増額、待機児童の解消など子どもの数を増やす努力は絶対に必要でしょう。

小児救急や入院環境など小児医療の充実は、安心して子育てをする上で重要な課題になっています。小児保健医療水準の維持・向上は、2001年から進められている国民的運動「健やか親子21」でも、4つの主要課題の一つになっているのです。

しかし、保育所の整備などを進め、子育てと仕事の両立支援を図っても、子どもの数が増えるとは限りません。

毎日新聞が昨年に実施した「第1回人口・家族・世代世論調査」では、「育児が楽しい」と答えた人が52%、「どちらかと言えば楽しい」も37%で、約9割の人が育児を肯定的にとらえてはいるようです。

しかし、高度経済成長の豊かな時代に育った若い夫婦にとっては、時間的・経済的ゆとりが保証された育児でなければやりたくない、苦労してまで子どもを持つ必要はないと考えている人が少なくないようです。

いずれにしろ、「子どもがいてもゆとりある生活」に向けて少子化対策を強化する必要があるというのが重要なポイントになります。

こうなった以上は、人口が減り、労働人口も少なくなるという社会を認めた上で、それを前提にした国や社会のあり方を求めることが大切ではないでしょうか。そのためには生産性を高め、女性や高齢者が働きやすい、また働けるような環境づくりを心がける必要があります。

そして何よりも、子どもの数にこだわることなく、そろそろ対策の重点を子どもの「数」より「質」の向上に移す必要があるように思われます。

最近の世相を見ていると、いじめや不登校、学級崩壊、学力低下、多発する少年犯罪や事件など、子どもの生き様に気がかりな点が少なくありません。

昨年実施された学力に関する国際調査では、わが国の学童は全分野で学力の低下傾向がみられています。

しかも、「勉強が楽しい」と答えた子の割合はどの教科・学年でも低く、国際平均を大きく下回っており、「希望の職業に就くために良い成績を取る」と答えた割合も最低レベルであったそうです。

03年中央教育審議会の答申では、「青少年が夢を持ちにくくなり規範意識や道徳心、自律心を低下させている。いじめ、不登校、中途退学、学級崩壊などの深刻な問題が依然として存在しており、・・・学習意欲の低下が小中から高等教育段階にまで及んでいる」と述べられています。

テレビゲームには熱中するものの、本を読まない子どもは増える一方という現状も問題でしょう。

このような学力低下の原因は、文部科学省が02年から推し進めている「ゆとりの教育」による学習内容の削減によるものとの見方が有力ですが、この反省に立って、文科相はゆとりの教育の路線見直しに踏み切ることにしたようです。

子どものありようばかりではなく、児童虐待の増加とか、子どもが被害者となる犯罪が多発して学校ですら安全な場所ではなくなりました。

子どもが安心し、落ち着けるような空間がなくなってしまった厳しい現実をも見逃すわけにはいきませんし、離婚や母子家庭が増加している点も、子どもにつらい生活を強いる結果となっています。

さらに、大人の世界においても、フリーターやニート(NEET 若年無業者)の急増が社会問題化しています。働きたくても働く場がない現在の雇用状況も問題ですが、日本人が誇りにしていた勤勉さ、几帳面さ、忍耐強さ、律儀さや恥の文化など、伝統的な倫理観や道徳といったものが急速に失われつつあることも確かなのではないかと思われます。

我慢することや、人とのコミュニケーションを苦手とする若者が多くなったことも事実でしょう。

少子化で兄弟や友達の数が減ったために、社会性や自立の遅れが目立つようになり、上手なおつき合いができなくなった子どもが多くなってきたのではないかと考えられます。

少子化を解決するに当たって大切な配慮について述べてきましたが、どのように対応すればいい結果に結びつくのか、すぐに答えが出るほど簡単な状況でもないようです。

子どもを慈(いつく)しみ、子どもをもつ親と家族を心から支える「気」というもの−親が周りから支えられているという実感を持てるような社会と環境づくりを進めることが何よりも大切ではないでしょうか。

今のままですと、子を持つ親、特にお母さんは、お父さんからも、地域からも、社会からも、そして国にも支えられているという思いを持てないままで孤立した状態で毎日を過ごすことになりかねません。

次に大切なのことは、お父さんがもっと育児に参加できるように仕向けることでしょう。会社人間になりきった父親を家庭に回帰させるためには会社や企業の配慮が特に求められる点ですが、父親が家庭の仕事の手伝いを抵抗なくできるようなしつけや日常というものが真っ先に必要となります。

そのためには、男の子がそのような状態になれるように、親は子への無用な介入をせず、自分でできることは自分で解決できるようにし、家庭の手伝いにも積極的に参加させることが大切ではないかと思われます。



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