たばこ規制 枠組み条約が発効しました


たばこを吸う人にとって厳しい世の中になっていきます

 「たばこ規制枠組み条約」が2月27日に発効し、喫煙を社会から隔離する動きが一段と強まることになります。

条約は、わが国を含め57カ国が批准することになりましたが、これにより、5年以内にたばこの広告は原則禁止となり、3年以内に、たばこの健康への影響を紙箱に大きく表示することが義務付けられることになります。

今年の7月から、たばこの箱には3割を割いて、「喫煙は肺がんの原因」などの文字が躍ることになるでしょう。

この条約は、2003年にWHO(世界保健機構)で採択されて、わが国は昨年6月に批准しています。

たばこは、がんや心疾患ばかりではなく、早産とか、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の原因にもなりかねません。

また、(まわ)りで煙を吸わされる人(受動喫煙)の健康をも(そこ)なうことになります。

受動喫煙の防止を定めた「健康増進法」の施行などで健康意識が高まった影響を受けてか、たばこを吸う人の割合が9年連続して過去最低を更新しています。02年には男性の喫煙率がはじめて5割を下回りましたが、成人の3割が喫煙し、喫煙率は30代が男女とも最も高いのだそうです。

しかし、02年の厚生労働省の調査では、生後6ヶ月の乳児を持つ母親の17.4%、父親の63.2%が喫煙していることが明らかにされています。

換気扇の下で吸うから安全だと考えている人も少なくないようですが、換気扇の能力には限界があり長時間にわたりたばこの有害物質が部屋の中に滞留することになります。

WHOは、03年の4月に『世界のがん報告』を初めて発表しました。

00年に全世界で死亡した約5,00万人のうち、がん死亡が620万人で12%を占め、がん発生者1千万人のうち、123万8千人が肺がんで最も多く、また死者も110万2千人で肺がんが最多であったと報告しています。

WHOは、喫煙者は非喫煙者に比べて肺がんになる率が2030に達し、自分でたばこを吸わなくても他人が吐き出す煙を吸うだけでも「肺がんの危険が2割増す」と指摘したうえで、「喫煙はがんの最大の元凶(げんきょう)」と断定しています。

わが国でも、肺がんで死亡した男性が02年に初めて4万人を突破して85年の約2倍になり、10代で喫煙を始めた男性は21歳以降に喫煙を始めた男性の平均発症年齢より6.5年も早まる傾向が認められています。

それも腺がんや大細胞がんなど特定のタイプの肺がんを早く発症することが知られていますが、これは肺組織の成熟が完成しないうちにたばこの有害物質にさらされるためではないかと推定されており、未成年の喫煙がいかに問題かを示す結果といえるでしょう。

40,50代を対象にした厚生労働省の研究では、喫煙していなければがんや循環器疾患による死亡の2割は防ぐことができたであろうという結果が出されています。

また米国疾病管理センター(CDC)の調査では、たばこが1箱売られるごとに、関連する医療費の支出や生産性の低下のために、910円の損失を社会に与えるとの試算が明らかにされています。

妊婦が喫煙したり、周りの喫煙者の煙を吸ったりすると、赤ちゃんは流産・早産の危険にさらされるばかりか、生まれた赤ちゃんの体重が低くなる恐れがあることも知られています。喫煙する妊婦から生まれた赤ちゃんの体重は、非喫煙者から生まれた赤ちゃんより平均して約200cも小さいことがわかっており、出生後の成長のスピードも遅いことが証明されています。

母乳中のニコチン濃度は、母親の血中ニコチン濃度よりも高く、1回喫煙したあとのニコチン濃度が半分になるのには約2時間かかり、ニコチン以外の有害物質の残存も考えると喫煙の影響は翌日くらいまで残ると考えたほうが賢明と言えそうです。

また、子どもがたばこの煙を吸うと、乳幼児突然死症候群(SIDS)の危険性を高め、喘息を悪化させ、中耳炎も起こしやすく、かぜを引いている子どもの咳をひどくすることもあるでしょう。

受動喫煙の害として、周りの煙を吸い続けて成長することに伴い、将来その子の喉頭ガンや肺がんの発生率が高くなる可能性を残すことは説明するまでもありません。

さらに、受動喫煙によって、子どもの身長の伸びが悪くなったり知能の発達が劣ったり視力も落ちるようになることが分かっています。子どもの知能への影響は以前から懸念されていたことですが、米国における最近の調査では、子ども自身の喫煙によって読解力や計算力が低下するということも明らかにされています。

落ち着きなく多動な子どもADHD」(注意欠陥多動障害)や行動障害をもった子どもが最近問題になっていますが、その母親の喫煙率は、そうでない子の母親よりも高いということや、妊娠中の喫煙本数と生まれた男子の粗暴行動との相関性も分かっています。

子どもの知能が悪くなると聞いて平気でいられる親はなく、子どもに余計な薬を飲ますのは誰でもイヤなはずですから、せめて子どもの前とか、同じ部屋でたばこを吸うのを避けることは、親として当然の(つと)めといえるのではないでしょうか。

最近は喫煙の低年齢化、常習化が問題になっています。

各種の調査によっても、高校生の約3割がほぼ日常的にたばこを吸っていることがあきらかにされており、特に女子の増加が憂慮されています。そのうち約3割は小学生のときから吸い始めていることが分かっていて、喫煙の動機も「好奇心」がトップで、9割以上が自動販売機で買い求めているという結果や、8割以上がたばこの害を理解しながら常習的喫煙を続けるという依存症の存在が浮き彫りになっているのです。

このように、喫煙は短期間で習慣化してニコチン中毒をきたし、ニコチン依存症になるスピードも、大人より子どもの方が早く1ヶ月ほどでタバコがやめられなくなるケースが少なくないようです。

たばこの害がいかに大きなものかお分かり頂けたでしょうか。

特に子どもの喫煙が問題になっているわが国においては、親が率先して禁煙し、喫煙の害を子どもに言って聞かせて「喫煙の世代間連鎖」を断ち切ることが何よりも大切なことと思われます。

最後に、全国で始めて「卒煙外来」を開設された「静岡県立こども病院」の加治正行・内分泌代謝科医長のデータをお示ししておきたいと思います。







「たばこ」にまつわる話題2005,9,27

WHO(世界保健機関)によれば、世界で年間500万人がたばこの害によって死亡し、2020年には、その数が1千万人に達すると試算されています。

現在の世界の喫煙人口13億人のうち、6億5千万人は、たばこが原因で死亡するおそれがあるため、「使用者の半数に死をもたらす唯一の合法的製造物」と呼ばれています。

厚生労働省の研究班の試算でも、毎年発生するガン患者48万人のうち約2割はタバコが原因であり、喫煙によって日本人男性は毎年8万人、女性は8千人がガンになっていると推計されています。受動喫煙の影響によるガンの患者はこの中に含まれていないので、実際はもう少し多い数となるでしょう。

受動喫煙で子どもの「算数の成績が悪くなる」

− 米国シンシナティ子ども病院の報告

タバコに含まれるニコチンが分解されてできる「コチニン」という物質の血液中の量を測ったうえで、読解、算数、論理的思考力、短期記憶力をテストした結果、コチニン濃度が高いと、読解、算数、論理的思考の点数が低くなることがわかったという報告です。

  これは米シンシナティ子ども病院(オハイオ州)の研究チームが、過去に米政府が全米で実施した健康調査の被験者になった6〜16歳の子どもで、たばこを吸わない約4,400人を対象にして調査して得られた結果だそうです。(05年1月4日各紙報道)

禁煙 次世代新幹線は全席

                                  (05年9月16日、産経報道)

受動喫煙が子どもの知能や背の高さに影響しかねないことは既に報告しましたが、愛煙家のお父さん、お母さんは、せめてわが子の前では吸わないようにしてください。

 愛煙家にはつらいことですが、公共の場所や人前でタバコを吸うことがだんだん許されなくなってきています。

 JR東海は、2年後に東海道・山陽新幹線に登場する新型車両「N700系」では、座席を全席禁煙にするという方針をこの7月に発表しています。

そのかわり、排煙や脱臭装置を備えた喫煙ルームをデッキ部分に設け、2人から4人が利用できる部屋を1編成あたり5、6ヵ所設置して、完全分煙化を図る計画だそうです。

 JR西日本も、関空特急「はるか」や「スーパーいなば」など一部の特急車両を全席禁煙にしており、16両編成の新幹線の喫煙車も減らす方向で検討されています。

 JR北海道では、普通列車と快速列車はすでに全面禁煙になっており、本州方面への直通特急を除き、今年度中に、JRグループとしては初めてすべての列車が全面禁煙となるそうです。

 東大や産業医科大学の調査では、新幹線などで喫煙車両が満席の場合、隣り合わせの禁煙車両でも、空気の流入によって、最大で法定基準の3倍の粉じん濃度が記録されたということです。

駅到着が近づき乗客がドア付近に並んで自動ドアが開きぱなしになったり、検札や車内販売でドアが開くたびに流入量が増えるようで、両側が禁煙車両にはさまれた車両の粉じん濃度は、これよりずっと低くなるという結果になりました。(04年12月1日、日経夕刊)

首都圏私鉄8社 全駅で全面禁煙

 首都圏の大手私鉄8社では、2003年5月1日から、駅構内の喫煙コーナーを撤去して、すべての駅が全面禁煙になっています。

 これは、他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙の防止を義務付けた「健康増進法」が同日から施行されることに対応したものです。

一方、関西の大手私鉄5社は従来どおりの分煙を継続する方針だそうで、禁煙への取り組みかたに東西の差が出たかっこうとなってしまいました。ただ、阪急、阪神、京阪、近鉄の4社は、地下駅ホームだけは全面禁煙の措置をとっています。

高速道路 〔サービスエリアパーキングエリア〕 全面禁煙

日本道路公団は、全国約520ヵ所のサービスエリア(SA)、パーキングエリア(PA)の商業施設を2003年5月1日から全面禁煙にしています。これも、健康増進法施行に沿って実施されるもので、喫煙場所を限定する動きは今後とも広かっていくものと予想されます。

スポーツ施設では?

大相撲秋場所は朝青龍の6連覇で幕を閉じましたが、両国国技館は今年(平成17年)1月の初場所から全席禁煙となっています。

また、高校野球のメッカでありトラの本拠でもある甲子園は、平成15年の3月に、プロ野球の本拠地では最後となる禁煙化に踏み切っていますが、スタンド下の通路に30ヵ所の喫煙所を設けて愛煙家の便宜を図っています。

喫煙率 3割切る  9年連続最低に   − JT調査

                                 平成16年10月

日本たばこ産業(JT)による昨年6月の「全国たばこ喫煙者調査」によれば、成人でたばこを吸う人の割合が29.4%となり、初めて30%を割り込んだことが分かったそうです。

このうち、男性の喫煙者率は46.9%で、13年連続で過去最低を更新し、ピーク時の66年の87.3%から40%以上の減少、一方たばこを吸う女性の割合は13.2%でほぼ横ばいの傾向が続いています。

健康増進法施行など、喫煙をめぐる環境が厳しくなるにつれて、喫煙者率は1996年以降、9年連続で過去最低を更新しているとのことです。

これらの背景には、健康増進法の施行ばかりではなく、たばこ税の増税、健康意識の高まりのほか、たばこの健康被害を地球規模で防ぐ「たばこ規制枠組み条約」に、日本も平成15年6月に批准手続きを行い、本年2月にWHOで発効したことも影響していると思われます。

加盟192カ国の中でも高い喫煙率をほこる(?)わが国にとって、日本の抵抗によって条約の課題として残された「自動販売機の規制」や「マイルド」、「ライト」といった健康への影響が少ない印象を与えかねない表示の撤廃に対する責任をも自覚する必要があるでしょう。なにしろ喫煙経験のある中高生の7割が自販機でたばこを入手したというデータもあるのです。

喫煙開始の低年齢化が進んでいます。

国立公衆衛生院の全国調査では、中1男子では約2割に喫煙経験があり、このうち喫煙開始年齢を「小学4年以下」と答えた者が約3割にのぼるのだそうです。

文部科学省でも、学習指導要領には小学5、6年向けに喫煙防止教育が盛り込まれていますが、奈良県では県内の小学1年生を対象に「喫煙防止絵本」を配布して、喫煙開始の低年齢化に歯止めをかけようと努力しています。


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