育児の悩み − なかなか寝てくれない子


わが国の子どもは、世界で睡眠時間が最も短いばかりではなく、宵っ張りで、お母さん泣かせの赤ちゃんも少なくないようです。

幼児の遅寝・遅起きが目立つようになったのは最近のことで、約25年前には約1割に過ぎなかったものが、近ごろでは、夜10時以後に寝る子が3倍を超えるようになったんだそうです。

この事実は日本小児保健協会が、平成2年度と12年度に行なった幼児健康度調査でも明らかにされています。

睡眠時間には個人差がありますので、何時間寝たら十分という答えは出しにくいのですが、早起きを心がけ午前中はスッキリした状態で過ごせるようにすることが何よりも大切です。

 遅寝・遅起きは、親の夜更かしの影響を受けている場合がほとんどで、睡眠の乱れは乳幼児期の心身の成長を妨げるばかりではなく、脳の発達に影響するのではないかと懸念されています。

夜更かしして朝早く起きられない子どもは、イライラして感情をコントロールすることが苦手で、すぐパニックを起こして攻撃的になったり、逆に無表情になる傾向が強いことが知られています。

赤ちゃんがただ寝てくれないというだけならまだいいのですが、夜鳴きが続いてお母さんの悩みの種となってはおだやかではありません。

 主に夕方から、時には夜中に、はっきりとした理由もなく火がついたように泣き続ける状態の一つに「コリック」がありますが、以前はわが国の赤ちゃんには稀であると考えられてきたこの現象も、最近の研究では約1割の赤ちゃんに見られることが分かっています。

 赤ちゃんが激しく泣き続けることは、お母さんにとって大きなストレスになります。

それが、生後2〜6週くらいに始まることが多いといわれるコリックによるものかどうかはなかなか見極めのつくものではなく、お母さんのイライラと不安をつのらせるもとになりかねません。

 産後のお母さん方の一部はマタニティブルーという憂鬱な心の状態に陥ることが少なくなく、さらには、10人に1人が「産後うつ」をきたしてお母さんのストレスを強める危険性を秘めています。

 夜泣きが親の苦痛にとどまるだけならいいのですが、マンションの上の部屋の赤ちゃんの泣き声が苦痛であるという裁判では、「家主が適切な処置を講じなかったため、原告が不眠症になり、転居しなければならなくなった」という訴えに対して、大阪地裁は、原告の女性の訴えを全面的に認め、引越し代や未返還分の敷金など全額の支払いを家主に命じる判決がくだされています。(平成12年7月)

 こんな話を聞くと、わが子の泣き声に神経質になるなと言われたところで納得できるものではないでしょう。

 しかしながら、コリックも3ヵ月ほどすれば消えてなくなる場合がほとんどです。

夜中に起きて泣く赤ちゃんに対しては、声をかけて抱くなり、哺乳するなりすることをすすめる意見と、癖になるからかえってよくないという考えが交錯していますが、お母さんが声をかけてあやしてあげることこそ赤ちゃんの安心をもたらす特効薬となるのではないでしょうか。

 何はともあれ、赤ちゃんでも幼児でも、生活のリズムをしっかり保ち、一日の生活サイクルを確立することが大切でしょう。


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