日本脳炎のワクチンは必要なのでしょうか?



 本脳炎の防接種を受けるべきかどうか、いま賛否がわかれています。

 接種継続に反対の意見は、「日本脳炎患者の報告が少ないのに、このワクチンの副作用は無視できるものではない」というものです。

 しかし、日本脳炎ワクチンの効果は既に証明されており、わが国の日本脳炎患者、特に幼児や学童の患者数が減ったのは予防接種の成果であることに間違いはありません。

最近では、平成11年の15歳例、平成13年の11歳例が小児患者として報告されている程度です。 

昭和41年までは年間1,000人以上の患者発生が記録されていたわが国でも、最近では、西日本を中心に年間で数人の報告しかなく、平成14年は8名、15年が2名でした。

しかし、外国ではアジアを中心に毎年1万人以上の人が命を落とし、もし助かっても9千人近くの人が重い神経学的後遺症に悩むという状態は依然として改善されてはいません。

 海外への家族旅行が珍しくもなくなった今は、国内の発生状況だけで物を言うことは危険です。幼少児が発症した場合は致死率も高く、後遺症も残りやすい事実も知っておいて欲しいと思います。

流行地に行く場合、特に基礎接種を済ませていないケース等では、出国までに接種を完了しておくことが望ましいでしょう。

 日本脳炎は、コガタアカイエカによって媒介される感染症で、高熱、頭痛・嘔気、意識障害などをきたし、発病した人の3分の1ほどは亡くなる怖い病気です。

人への伝播にはブタが重要な役割を果たしています。

ブタが感染すると多量のウイルスを体内で産生し、このウイルスをもったブタを刺した蚊が人を刺すことによって感染が起こりますが、人から人へ直接感染することはありません。

また刺されたからといって必ずしも発病するとも限らず、感染者1,000〜5,000人に1人が脳炎を発症する程度と考えられています(大部分の人は不顕性感染で終わります)。

予防接種法では、中学生までに計5回の接種を受けること(努力義務)になっていますが、生後6〜90ヶ月まで(標準として3〜4歳)に受ける第1回目は約9割の人が接種するのに、回数を重ねるにつれ接種率が悪くなる傾向がみられます。

ワクチンで基礎免疫を確実につけることと、追加免疫を忘れずに確実に続けることが重要です。

ところが、厚生労働省の調査によると、日本脳炎のワクチン接種を受けた後にADEM(急性散在性脳脊髄炎)という稀な副作用が、1994年以降18人も発生していることが分かっていますが、この2年間の発症率は70万回接種に1回の割りで、厚生労働省は通常の副反応の範囲内と考えています。

 日本脳炎の患者さんは毎年数人にしかすぎないのに、昨年は、ワクチン後のADEMが全国で6人も出た事実が接種反対論が強くなった背景にあるのです。

 ADEMは、頭痛・嘔吐、意識障害、両足のマヒなどをともなう急性の病気で、ウイルスや細菌感染の後にもみられる神経疾患ですが、ワクチンで起こるものはその一部にしか過ぎず、両者の医学的な因果関係は必ずしも明確になっているものではありません。

日本脳炎ワクチンが問題になるのは、ワクチン製造過程でマウスの脳組織を使用し、その成分が残留しているからではないかと考えられているからで、厚労省は製造方法の変更をメーカーに求めています。

このように議論の的になっている日本脳炎の予防接種ですが、定期接種からはずすのは時期尚早というのが専門家の意見です。

不安は残りますが接種を継続するのが妥当なのではないかと考えられます。ワクチンも大切ですが、まず蚊にさされないようにすることが最も大切な予防法と心得てください。



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