ペットと子どもの病気

                       

 いまや空前のペットブームだそうです。しかし、動物から病気をうつされて問題になることが少なくありません。

 新聞などで報道された例はほんの一握りで、見逃されているケースが少なくないことがうかがえます。

BSE(狂牛病:牛海綿状脳症)は、もともと羊の病気であったものが牛に感染をおこし、その牛を食べた人がCJD(クロイツフェルド・ヤコブ病)という神経が侵される病気になるのではないかと考えられています。

また、昨年大勢の患者が出た松江フォーゲルパークのオウム病も、セキセイインコやオウムなどがもっているクラミジアという病原体が鳥の糞や唾液などを通じて人に感染して起こる病気です。

糞の始末はきちんとして清潔を心がけ、口移しで餌を与えるようなことは決してしないことですが、かわいい小鳥のことですからついついということもあるでしょう。

また鳩も、クラミジアやクリプトコッカスのような病原体を持っていることがあるので、近づきすぎるのは考えものですし、自宅で飼っている場合には糞の始末を徹底することが大切です。

インフルエンザも、もともとは鳥のウイルスであったものが人間に適応したものと考えられています。新型インフルエンザは、中国南西部の湖沼地帯でブタの鼻腔でトリ型ウイルスとブタ型ウイルスが混ざり合い、遺伝子の交換が起きることによってできるハイブリッドウィルスと考えられています。

昨年の春に中国を中心に大流行したSARSも新型のコロナウイルスによるものらしいということで、SARSウイルスと命名されました。

普通のコロナウイルスは風邪の原因の1020%を占めるごくありふれたウイルスですが、新型のコロナウイルスは、どうやらジャコウネコの一種のハクビシンから人間に感染したものではないかと考えられています。

 このように、本来動物の病気であったものが人間にも病原性を強く発揮するものを「人畜共通感染症」と呼んでいます。

インフルエンザも、SARSもその一種ということができるでしょう。そのほか人畜共通感染症としては狂犬病、猫ひっかき病、炭疽、エイズなど80種類以上の病気があると言われています。

ではこれらの病気が増えてきた理由や、新たに出現したりするわけはどういうところにあるのでしょうか。

動物だけの生息地域であったアフリカなどの森林に開発の手が伸び、動物の行動圏と人間の生活圏が接近・重複するようになったことがあげられます。

今回のSARS騒ぎで明らかになったように、航空機の発達は一瞬のうちに全世界中に感染を拡げてしまうという危険性すら秘めていることが分かります。

 

 今までみぢかに存在していなかった新しく発生した感染症を新興感染症といいますが、いま問題になっている人畜共通感染症の多くはそれに当ります。

しかし、人畜共通感染症のなかには、犬や猫が持っている病原体による昔から存在した病気も少なくありません。この場合、ヒトに病気を起こすことがあっても、もとの動物には病原性がない病気もないわけではありませんから、自分のペットが元気そうでも安心は出来ないかもしれません。

猫の糞を介して妊婦が感染すると流産の原因になりかねない「トキソプラズマ症」も要注意ですが、猫に引っかかれたり咬まれたりして発病する「猫ひっかき病」、ペットの糞を介して感染することがある「Q熱」なども、症状は風邪と似ているだけに注意が必要です。ですから、原因不明の熱や咳などが長引く場合には是非とも診察を受けるようにして下さい。

 このようにペットを介してうつる感染症が増加する原因として、年間百万匹以上の哺乳類が輸入されるという我が国の「ペット輸入大国」の無防備さがあり、感染症予防法改正では輸入規制が実施されて、野放しに近い状態は改められることになるでしょう。

 そのほか、人畜共通感染症とは言えませんが、動物が持つ病原体によって人が感染する病気は130200種類あるとされ、ミドリガメやニワトリがもつサルモネラ菌、蚊が媒介する日本脳炎や西ナイル熱も問題となってきます。

ペットとの距離を保ち、清潔、十分な睡眠と栄養バランスのとれた食事を心がけ、疲労をためないようにすることがこれらの病気対策として最も大切な対策と言えるのではないでしょうか。

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