子どもの数がまた減りました !


シリーズ 「少子化のゆくえ」 (1)

 近鉄バファローズ問題にも 少子化の影?


  6月10日の夕刊各紙では、「出生率1.29 年金崩す」 という活字が紙面を埋めました。

  一人の女性 (15歳から49歳まで) が生涯に産む子どもの平均数を、「合計特殊出生率」といい、現在の人口を維持するためには2.08(女子の死亡率などによって変動する) が必要とされます。

これを「人口置き換え水準」と呼んでいます。

しかし、1.32と予測されていた平成15年の数値は1.29と低迷し、初めて1.3を切る結果となって全国に衝撃が走ることになったのです。出生数も112万4千人で、前年より3万人減りました。

わが国の人口は、平成18年をピークに減少に転じて「人口減少社会」が訪れるものと予想されていますが、このままでは、もっと早く減少し始める可能性さえ出てきました。まさに一大事です。


少子化問題」は、私がいま最も関心を抱いて取り組んでいるテーマの一つです。


これから順を追って、少子化についての様々な考え方を整理して行くことにしましょう。

そういえば14年前にも同様の出来事がありました。

平成2年に、1.57ショック」が全国を駆けめぐったのです。

平成元年の合計特殊出生率が、「ひのえうま」のために出産をひかえる人が続出した昭和41年の出生率1.58をついに下回って、1.57になったからです。

1.57ショック」 は当時の流行語にもなりましたが、これをきっかけに「少子化問題」が国民的課題としてクローズアップされるようになってきました。

それ以来、出生率は年々下がり続けて、ついに1.3を切ることになったわけですが、毎度のこととて今回の数字に改めて驚いた国民はほとんどいないでしょう。

しかし、小泉首相をはじめ、閣僚やお役人の心は決して穏やかではなかったはずです。このままでは、社会保障の根幹を揺るがしかねない恐れがあるからです。

今年は年金騒動に明け暮れている感がありますが、「世代間の支え合い」、負担と給付をめぐる意見の衝突は、簡単に解決の糸口が見つかるようなものではなく、出生率が1.3を切ったとなればそれはそれでとんでもないことなのです。

負担が増えて喜ぶ人はいないでしょうし、国民年金の保険料未納者が4割を超えるという現状を考えると、このままでは、年金制度そのものの存立が危うくなるでしょう。

一方、給付が減らされるとなると人生設計に狂いが生じますし、財産権が脅かされるという問題にもなりかねません。

わが国の年金制度は、働いている現役の人びとが負担する保険料で受給者の年金を負担するという「賦課方式」を採用している関係で、支える側の人が減ると、制度そのものが成り立ちにくくなる宿命をもっています。

合計特殊出生率は、国立社会保障・人口問題研究所という厚労省の外郭団体がさまざまなデータを細かく分析し、それをもとに5年ごとに推計値を発表する仕組みになっているのですが、的中したためしがなく、いつも低目に外れるのが恒例となっています。

保険料と給付のレベルなどは、出生率、労働人口と老齢人口の割合、賃金水準、物価などの将来予測値を参考に設計されており、今の制度は出生率が1.30を下回らないことを前提に、2050年には1.39まで回復することを前提に給付水準などを算定しています。

出生率が推計値から低目にはずれ続けるとなると、年金財政に大きな影響が加わり、制度そのものの存立が脅かされることがこれでお分かり頂けるでしょう。

昨年の出生率が1.29になったことは、とうの昔に分かっていたはずなのに、年金問題を争点にした選挙が終わった後に発表するという「あとだし」事件が物議をかもしたのもそのためです。

この狭い国土に、これほど大勢の人々がひしめき合っていることを思えば、人口はもっと少なくてもその方が余裕ができていいのではないかという意見も少なくありません。

このような考え方が決して正しくないことは追って詳しく説明することにしますが、とりあえず最近の身近な一例をあげることにします。

蜂の巣をつついたようになっているプロ野球騒動も、元はといえば少子化が少しは関係しているのだと言えば、こじつけに聞こえますでしょうか。

今回の騒動の発端である近鉄バファローズとオリックスブレーブスの合併問題も、巨人本位制とパリーグがかかえる構造的な問題が主な原因になっていることは確かでしょう。

放映料収入や入場者数の伸び悩みと、選手年俸の高騰が重なって球団経営を圧迫しているとしても、親会社が赤字負担に耐えるだけの余力を残しているならば、割高な広告料と割り切って赤字を補填することだってできる筈です。しかしながら、バファローズの親会社である近畿日本鉄道の経営は利用者が減り続けることも手伝って年々苦しくなってきているようです。

乗客の減少は、JRの巻き返しやマイカー利用者が増えたこと、東京一極集中による関西経済の地盤沈下をも反映しているのでしょうが、少子化などによる通学者の減少も無視できず、関西私鉄5社は12年連続して輸送人員が減少し続け、経営悪化で悩む会社が少なくありません。

沿線の住宅開発や乗客増のためにプロ野球チームや遊園地をもつことが大きな意味を有していた時代は去り、これらが逆に経営の足を引っ張るというのであれば、球団を手放すというのも仕方がないことなのかも知れません。

阪急や南海が既に球団経営から手を引き、宝塚ファミリーランド、神戸ポートピアランド、あやめ池遊園地、阪神パークなどのテーマパークや遊園地が閉鎖の憂き目に、そして近鉄は志摩スペイン村の負債に四苦八苦するというのも時代の波と言ってしまえばそれまでですが、子どもの数が減り、それに伴って来園者が減り続けるという事態がそうさせたことも否定できないでしょう。さらにはUSJなどの登場で競争が激しくなったという理由もあるでしょうが、国民の意識や趣味、娯楽などの多様化が遊園地不況の背景にないとは言えません。

生活の多様化はあらゆる面において進んでおり、観て楽しむスポーツといっても、以前のように野球一辺倒から、サッカーをはじめとするほかの種目にも人々の興味が分散してしまった結果、野球の斜陽化が進んでいるとも言えるのではないでしょうか。

少子化の要因の一つに「非婚化・晩婚化」があげられることが少なくありません。その背景には、結婚の意志はあっても適当な相手が見つからないことを最大の理由にしている人が少なくないのですが、これも若者の価値観や人生観が多様化した結果と言えないこともないようにも思えるのですが。

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