少子化のゆくえC


 6月2日付け各紙は、厚生労働省が発表した05年の人口動態統計を報じ、05年の「合計特殊出生率」が、過去最低であった04年の1.29より0.04ポイント低い1.25まで落ち込んだことを伝えています。

 都道府県別で最低の東京都は0.98で、全国で初めて1.00を下回ったということです。

 この事実の激震ぶりは、その後のマスメディアの少子化問題の取り上げ方を見ても理解できるでしょう。

 この報道によると、05年の出生数は106万2,604人で、前年より4万8,117人減少し、一方、死亡数は108万4,012人で、差し引き2万1,408人も減ったことになって、統計を取り始めた1899年以来、わが国の人口は初めて減少に転じ本格的な人口減少社会に突入したということです。

厚労省が分析したこの大幅な落ち込みの原因としては、

@     結婚件数の減少(前年比6,156件減の71万4,261件)、

A     女性の平均初婚年齢(28歳)が0.2歳上昇、

B     第1子出生時の母親の平均年齢(29.1歳)の0.2歳上昇など、

晩婚・晩産化の進行が挙げられています。

 「出生率の低下は、国の基本に関わる問題」という政府の認識のもと、「メッセージ性のある少子化対策をとりまとめて総合的な政策を推進する」という、少子化社会対策推進会議を主宰する安倍官房長官の談話も紹介されています。

 この状態がますます深化するようならば、年金の給付減と負担増など、社会保障制度の根幹を揺るがす事態は避けられず、50年間は維持可能とされた04年の年金改革も制度設計の早期やり直しを迫られることになりそうです。

 「財政出動」の掛け声も大きくなってはいますが、財政再建の建前から「乳幼児手当」の新設は見送られ、児童手当の大幅な増額も望み薄となれば、小手先の少子化対策の結末は目に見えていると言わざるを得ないでしょう。

 いま飛び交っている少子化論は、出生率の減少が社会保障制度の破滅を招くからという危機感が中核となっているようです。しかし、人は国を支えるために子どもをつくろうとするのではないのであって、今の議論を聞いていると、「産めよ増やせよ」時代の富国強兵策の域をでるものではなく、このような言い分が若い親の賛同を得られる筈もないでしょう。


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