国の少子化対策の本気度A

現在の政局の一番の関心ごとといえば、09年度予算の枠組み、とりわけ社会保障と公共事業予算の取り扱いではないでしょうか。

2,200億円の社会保障費削減が粛々と進められる中、自民党の厚生労働関係合同部会でさえこの政府方針に反対する姿勢を強めています。

近づく解散・総選挙を前にして、政府内でも「少子化対策は聖域化すべき」であるという声が高くなってきてはいますが、小泉構造改革が敷いた財政再建路線との確執のはざ間で、バラマキの声が聞こえないわけではありません。

少子化の解消なくして年金や高齢者医療問題の解決は望めないという状況に追い込まれ、少子化対策の重要性はあまねく認識されています。

しかし、国の病児保育制度に対する態度を見たとき、政府が本気で少子化対策に取り組む姿勢を持っているのかどうか首を傾げたくなるような点が少なからずでてきています。

仕事を持つ親にとって、安心できる保育所の整備は何よりも心強い施策ではありますが、発熱したり、はしか、みずぼうそうといった感染性の強い病気にかかった時でも保育してもらえる病児保育所の存在は、ワークライフバランス(仕事と生活の調和)を保つ上で必要不可欠の制度と言っていいでしょう。

病児保育所を運営する施設の団体である全国病児保育協議会は、毎年、全国病児保育研究大会を開いて保育の質の向上や整備につながる研究を進めており、本年は7月2021日に、三重県の四日市市で開催されました。

この大会に参加して感じたことは、病児保育制度が大きな曲がり角に差し掛かっているのではないかという印象です。

病児保育制度は本年3月に一部改編されました。改編の問題点としては、

@病児保育施策を担当する部局が厚生労働省の母子保健課から保育課に移管されました。保育行政の一元化といえば聞えは良いのですが、保育とは本来健康な子どもを預かるもので病気の子は対象と考えていないという見解が示されており、医療面の希薄化で病児保育の基盤が脅かされることになります。

A施設運営の赤字解消のために、利用料は現行の2,000円から、利用者の自己負担導入を容認して6,0008,000円にする。

この利用料金では、富裕層しか利用できないことになり子育て支援の意義が薄れてしまいかねない。

B育児は本来、親や保護者が主体的に推進すべきもので、国や社会はそれをサポートするだけ。

C平成19年度から、保育所での体調不良児への対応を行う「自園型」を創設する。これに伴い、(1)病児対応型、(2)病後児対応型、(3)体調不良児対応型の3つに類型化し役割の明確化をはかる。

子ども・子育て応援プランでは、全国1,500か所の施設数目標が立てられていたが、保健師などを自宅に派遣する派遣型は廃止。

確かに、育児は一元的には親の自己責任に帰せられるものですが、国の思想には子育ては「次世代育成のための社会全体の問題」とする発想はなく、「育児の社会化」の理念から遊離した考えとなっています。

 今回の改編は、少子化社会対策大綱「子どもと家族を応援する日本」重点戦略の精神にももとるものであり、本年をワークライフバランス元年にしようという志にも逆行したものと言えるのではないかと思われます。