家の中にも危険がいっぱい

無謀運転の巻き添えをくって命を落とす子どもの事故が後を絶ちません。

交通渋滞を避けて、抜け道となった狭い生活道路に入り込んだ車による被害も続発しており、069月に埼玉県川口市で保育園児21人が死傷した事故の論告求刑公判も最近開かれたばかりです。

しかし車や公園の遊具、回転ドア、エスカレーターなど、危険は家の外で待ち受けているばかりか、家の中にも潜んでいて子どもたちを狙っているのです。

昨年多発したシュレッダーによる指の切断は記憶に新しいところですが、昔と違って、便利だけれども危険をはらんだ文明の利器は身の回りにあふれ、住宅建材などに含まれる接着剤や防腐剤、洗剤等さまざまな化学物質が子どもの健康を蝕んでいます。

このような子どもの事故や被害などは、法律や制度でその危機を回避することも可能でしょうが、すさまじい工業化学の発達がもたらした環境汚染や健康被害は日常的な意識の対象になりにくいだけになおさら厄介です。

工業化学の飛躍的な進歩によって化学物質は10万種以上も開発されたと言われています。子どもの方が大人よりも化学物質の影響を受けやすく、ぜんそくやアトピー性皮膚炎、原因不明の頭痛の原因となっている場合もあるのではないかとも考えられているのです。

97年に米国フロリダ州で開催された先進国環境相会議では「マイアミ宣言」が採択され、「現在の環境保護レベルは子どもには十分ではない」として、乳幼児や子どもに対する有害物質の影響調査や指針づくりを進めることが決められたのです。

また最近では、ガス機器による一酸化炭素中毒事故も問題になっています。

経済産業省は先日(3月13)86年〜06年の21年間で3,337件の事故が発生し、577人が死亡していたことを公表しました。換気の徹底や不完全燃焼に対する配慮の不足といった消費者側の問題もなくはないでしょうが、器具の安全装置や経年劣化、安全情報の周知などメーカー側の配慮不足が背景にあることも否定すべくもありません。

ひとたび事故が起きた場合の危険性や予防についての情報を徹底させることが肝心で、子ども達には、ガス器具や一酸化炭素の危険性などについての安全教育を日頃から教え込んでおくことも必要ではないかと思われます。

このように子どもの事故が続発するため、経済産業省は07年度から、子どもの事故情報を関係者が共有するネットワーク作りに乗り出し、再発防止策をデータベース化することになりました。

この構想は、国立成育医療センターとタイアップし、保護者、幼稚園などからも事故情報の提供を受けてこれを分析し、事故の背景にある製品の構造や子どもの行動などを専門家が分析して再発防止策につなげようというものです。

また、1986年に設立された財団法人「日本中毒情報センター」では、化学物質やタバコなどの急性中毒に対する応急処置について、茨城県と大阪府の2ヶ所で全国からの電話相談に応じています。

05年1年間に受けた電話相談は約3万2千件で、このうち5歳以下の乳幼児に関する問い合わせが約8割を占めているとのことです。

中毒情報センターの相談は従来は有料でしたが、昨年9月9日からは無料化され、携帯電話や公衆電話などからもつながるように改編されています。

事故だけではなく誘拐や児童愛者による連れまわしなど、おちおち幼い子どもを独りで外出させられない世情、さらには子育てに不向きな状況や児童虐待など、子どもを育てるむずかしさや不安はつのるばかりです。

「健やかな子育てを」と言われても、安心して子どもを育てるのに不都合な環境や世相がそのままでは素直に納得できる親は少ないでしょう。

このような風潮を払拭しないことには、児童手当の増額や優遇税制など親に対する経済支援を推進するだけでは、少子化対策が功を奏して子どもの数が増え始めるとは考えにくいのではないでしょうか。


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