赤ちゃんだってオナラは出るのです


診察中にオナラをする赤ちゃんは珍しくもありません。

ベッドの上で大音響をたてたり放水するつわものも少なくはなく、申し訳なさそうな顔をされるお母さんを見るとかえってつらくなりますが、生理現象なのですからこちらはなんとも思ってはいません。

大人も、赤ちゃんも、たかがオナラと侮ることはできません。便やオナラは胃腸の調子を映し出す大切なシグナルなのです。

ロタウイルス腸炎のように、便の臭いを嗅いだだけでそれと分かる病気もないではありませんが、オナラの臭いだけで病名まで言い当てることは神業に近くなります。

一般に赤ちゃんや幼児のおなかは膨れ気味になっていることがふつうで、それを心配して相談されるお母さん方も少なくありません。ガスの溜まりすぎのせいだと思われますが、それも個人差が大きいことや、成長しても腹筋の発達の具合などでお腹の大きさは人それぞれということでしょう。

オナラは哺乳や食事と一緒に口から入ってしまう空気や、腸内で発生するガスが作り出すものです。

腸の中には500種類、100兆個を超える細菌が存在し、ミルクや食物を分解するときにガスが発生、一部は吐く息に、残りはオナラ、まさしく「お鳴ら」として音とともに外にでるのです。

細菌ときくと害があるように思われますが悪者ばかりでもなく、99.9%ビフィズス菌や乳酸桿菌などに代表される嫌気性菌で、一方の好気性菌の代表選手が大腸菌で、これら腸内細菌は宿主であるヒトと共生関係を作っています。

腸内細菌の構成のことを腸内細菌叢=フローラといい食べ物の影響を受けやすく、腸内のpHを弱酸性にして病原性細菌の増殖を抑制したり、腸の蠕動運動を促進したりする働きを保っています。

腸の調子が悪いために悪玉菌が活躍しすぎる場合とか、成人では、ストレスによる腸の蠕動運動の低下がオナラを増やしてしまうこと等も少なくありません。

オナラを我慢すると、腸内にたまったガスは腸壁から吸収されて呼気や皮膚から排出されるか、肝臓や腎臓で処理されて排泄されることになり、体臭や口臭のもとになりかねません。ことに悪玉菌によってできた腐敗物質が腸壁から吸収され、血液で全身に運ばれ生活習慣病やアトピー性皮膚炎など、腸以外の病気を引き起こす元になることも分かってきたのです。

オナラはその9割以上が二酸化炭素や窒素ガス、水素ガス、メタンガスなどの無臭性のもので、臭みがきつくなるのは、大腸菌やウエルシュ菌、クロストリジウム菌などの悪玉菌が優勢になって、アンモニアやインドール、スカトール、硫化水素などの臭気の強い有害物質が作り出されるからと考えられています。

臭いはともかくとして、腸にガスが溜まりすぎると腹痛の原因になることも少なくなく、乳幼児では特に配慮が必要でしょう。一発出れば一発で解決ということにもなりますが、のた打ち回るほどの強い腹痛は、腹膜炎など急性腹症と呼ばれる緊急手術の対象になりかねない大病か、それとも硬い便やガスが溜まりすぎているかの両極端のいずれか、殆どが後者というケースが多いようです。


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