潮干狩り  貝毒に気をつけて

絶好の五月晴れ、GWが終わったばかりというのに真夏のような陽光がふり注いでいます。潮干狩り、大潮ならなおさらの好シーズンと言えるでしょう。

潮干狩りは江戸の時代から庶民の楽しみ、人気の高い行楽の一つであったようです。品川や深川洲崎、大坂でも住吉大社の前浜の賑わいは浮世絵や名所図会にも春、特に弥生三月の風物詩として描かれています。

貝類はタウリンやアミノ酸が豊富で健康に良い食品ですが、今年の大阪湾のアサリ、淀川のシジミや下流のアカガイ、トリガイなどから、それぞれ基準を超える麻痺性貝毒が検出され、大阪府は、この海域の貝を食べたりしないように注意を呼びかけています。

アサリやホタテ、カキなどの二枚貝類は海中の植物プランクトンを餌にしていますが、中には毒素をもったプランクトンも少なくなく、この毒が貝に蓄積して有毒化することになると考えられています(サザエやアワビ等の巻き貝は安全?)。

貝毒には、麻痺性貝毒と、下痢・腹痛などを起こす下痢性貝毒など数種類があり、麻痺性貝毒(PSP)では、貝を食べて5〜30分くらいしてから口唇のまわりからしびれ始めてやがて全身に広がり、進むと麻痺症状が顕わになって言語障害、運動失調などから、終には呼吸麻痺で死に至ることがあります。 

今年の有毒プランクトンの大量発生は例年の約100の量に上ることが確認されていますが、大量発生の原因は不明で、大阪府内の漁協は貝の出荷を当面自粛する方針だそうです (4月28日、産経夕刊)。

有毒プランクトンは、毎年3〜5月の水温の上がり始める期間に発生することが多く、ちょうど潮干狩りのシーズンと合致します。各都道府県の水産担当部局では海水中のプランクトンや貝類の「行政検査」を行い、毒が基準値以上になった場合には出荷停止の措置が下される仕組みになっています。

業界も独自の自主検査を行って安全性を確認している所が多く、市販されている貝類は安全ですが、潮干狩りや海水浴で採った貝は対象から外れているため注意が必要です。

子どもの楽しみを奪うのは心苦しいかぎりですが、中には、採った貝を回収して無毒の貝と交換するサービスを行っている漁協もあるようです。

麻痺性貝毒は、サキシトキシン(saxitoxin) などの成分によるもので、青酸カリの500倍の毒力を有するといわれるフグ毒 テトロドトキシンと同じくらいの毒力を持っているのだそうです。

フグの毒も生まれつき存在しているものではなく、テトロドトキシンを作り出すビブリオ属やアルテロモナス属などの海洋細菌を含んだ海底の泥(デトリタス)を食べる小動物をフグが餌として食べることによって、フグの体内に蓄積されるものと考えられています。

貝毒も、フグの毒も、このような「食物連鎖」を通じて体内に蓄積されていくものと推察されていますが、加熱しても無毒にはなりませんから、安全宣言が出された海域の貝以外は食べないようにしてください。



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