子どもの体力・運動能力の低下傾向に ブレーキ?

 

文部科学省は毎年体育の日に、子どもの「走る、跳ぶ」などの運動能力の現状について公表するのが慣わしとなっています。

 今年も10月8日一斉に報道されたので、ご覧になった方も少なくないことと思います。

 運動能力調査は、64年度から6〜79歳を対象に毎年実施されていますが、青少年(6〜19歳)の走る(50b走、持久走)、跳ぶ(立ち幅跳び)、投げる(ソフトボール、ハンドボール投げ)など基礎的な運動能力は、86年度をピークにいずれも長期低下傾向にありました。

喜ばしいことに、今回の報告では一部に下げ止まりの傾向が認められ始めたというのですが、安心するのはまだ早いようです。

 06年度の調査では、持久走(1,500b走)は、男子17歳(380.78秒)と同19歳(403.20秒)が過去最低を記録し、20年前の85年の13歳(366.40秒)よりも遅かったというのです。

 11歳の50b走では、男子8.95秒、女子9.20秒と、いずれもピークとされる85年より0.20秒も遅くなっています。

 同じく昨年の調査結果から明らかになった点として、体力と生活習慣の相関関係の分析から、男女各年齢ともに「朝食を食べる子どもが、食べない子どもを上回った」ことが特筆され、「生活習慣の乱れが体力低下に影響している」と結論付けられています。

 これらのデータはあくまでも平均値の比較ですから、サッカーや水泳競技で国際的に活躍する選手を見るにつけ、トップグループの体力は決して見捨てたものではないことが分かります。

 今、わが国の社会とかあらゆる場面で進んでいる「二極分化や階層化」が、子どもの体力面でモ拡大していることがうかがえます。

 このような子供の体力の低下は、体力の基礎となる「体をいっぱいに使う遊び」や自然体験などが極端に減ったことによるものと分析されており、野外での遊びの復活が提唱されています。

都会では空き地が消え、小鮒やざりがに採りに夢中にさせてくれた池や小川はふたやフェンスが張られて近付くことさえできなくなっています。

道路は舗装され野球や縄跳びを楽しむ場ではなくなっていますし、交通戦争が野外での遊びを奪って異年齢の子どもたちが混ざり合って遊ぶ姿は消えてしまいました。

 体力衰退の始まりは1980年代後半に始まったと言われていますが、この頃からテレビゲームが大流行となり室内での遊びが主流となったばかりか、塾通いやお稽古事で子どもの余暇は極端に削られる結果となってしまったのです。

 野外遊びの大切さを再認識し、遊びの場を確保することの重要性が叫ばれてはいますが、子どものライフスタイルや遊びの質やパターンの変容はいかんともしがたく、指導や工夫によって転換を図ることは容易ではなさそうに思われます。


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