シャツにご用心!

 

 4月5日づけの各新聞は、中国製の乳幼児用Tシャツを着た乳幼児に、湿疹やかぶれが出るなどの被害が出たという報道を流しています。

このTシャツから基準値の6倍もの有害物質「ホルムアルデヒド」が検出されたため、大阪市保健所は販売元に対して、「有害物質を含有する家庭用品規正法」に基づき販売中止を指示し、販売店は、問題となった約6,000枚のTシャツだけではなく、乳幼児向けの衣類全商品約10万点の自主回収に踏み切ったということです。

このTシャツに刷り込まれている王冠マークや文字などの柄を印刷するために使用されたインキに含まれるホルムアルデヒドが残留していたために、被害が出たものと推察されています。

冬場になると湿疹やアトピー性皮膚炎は悪化する傾向が強く、寒くて乾燥した日が続くほど痒みが増してつらい思いをします。

湿疹体質の子どもには、もともと保湿など皮膚の生理的機能に関与するセラミド天然保湿因子が乏しく、皮膚の水分保持機能の低下という弱点があります。直接外界と接して各種の刺激や外的要因から皮膚を保護しているバリアー機能も弱く、デリケートになっているので冬には余計に悪化が起こるようです。

クリニックを訪れる子どもの中には、掻きキズで全身血まみれになった子やメリケン粉を散らしたように粉を噴いた皮膚をした児童を見かけることも少なくありません。

掻かないようにすることは当然のこととして必要なのですが、無意識に掻きまくる子供に理屈が通用する筈はありません。掻くことはある程度計算に入れて、被害が最小になるように、いつも爪を短く切っておく配慮が求められるでしょう。

保湿剤や湿疹用の外用薬を用いることも大切ですが、皮膚を清潔に保ち、無用の刺激を避ける「スキンケア」が優先されるべきことは言うまでもありません。

皮膚にわるさをするのは何もホルムアルデヒドばかりとは限りません。シャツを製品化するまでに使われている柔軟剤、着色剤・染料、糊などの添加物等の化学物質も皮膚を刺激して皮膚炎などを起こす可能性が残されています。

おしゃれをしたいのはやまやまですが、肌に直接触れるシャツには色物や柄もの、化学繊維の製品はできるだけ避けるようにするべきでしょう。

ただ白色だからといって安心はできません、白を鮮明にするための漂白剤や蛍光増白剤が使われているかもしれないからです。

ホルムアルデヒドをはじめ、多くの物質は水洗いでほぼ取り除けるものが少なくないようですから、おろしたてのシャツを着る場合は、一度洗濯してから着るようにしたがベターでしょう。

もう10年以上も前から、肌にやさしい肌着が評判になっています。農薬や化学肥料を用いずに栽培された「オーガニックコットン」や低刺激性素材を使用したシャツ、縫い目やラベルを裏ではなく表にした製品など様々な工夫が凝らされていますが、その割には普及してきていないようにも思われます。価格が高いこともネックになっているのでしょうが、これらの肌着を用いたからといって急に湿疹や敏感肌が改善するという保証もないからではないでしょうか。


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