氷山の一角 ?

− 食の安全はどうしたら守れるのでしょう

 

残留農薬などで汚染された事故米の不正転売問題や、有害物質メラミンが含まれた中国製チョコレートなど、食の安全が揺らいでいます。

中国産の食品から抗生物質や農薬が検出されるというのは今に始まったことでもありません。

04年には、冷凍ホウレンソウから残留農薬クロルピリホスが、03年には、冷凍エビや上海ガニからクロルテトラサイクリンという抗生物質が検出されています。さらに昨年8月には、中国政府の検査管理体制の強化にもかかわらず、主要都市で販売される野菜の残留農薬で基準値を超えたものが7.2%、水産物に使用され発がん性があるとされるマラカイトグリーンという抗菌剤も10.5%が基準値を超えていたことを中国の国家食品薬品監督管理局が公表しています。

日本国内では、薬事法でカニ養殖に抗生物質を使うことは禁じられていますが、中国では効率よくカニを育てるのに抗生物質を使うことは常態化しており、検査の全国統一の基準もないというのです。

メラミン混入の判明した商品は、全国のスーパーなどから一斉に撤去され、輸入した会社も自主回収に踏み切りました。

 9月26日には、中国から台湾や韓国に輸入されたクリームや粉チーズなど牛乳を原料とする食品からメラミンが検出され、被害が拡大しているとの報道がなされています。

WHO(世界保健機関)は、「速やかに情報を公開しておれば被害拡大の規模は抑制されたはず」として、情報の透明性を高めるよう中国政府に要請しました。

食品メーカーや大手商社などは、食品安全管理室を新設するなど、食の安全対策の強化を図ると共に、乳原料の調達先を中国からニュージーランドに切り替えるなどの対応を図っているようです。

今のところ、健康被害の報告がないだけが慰めですが、中国の菓子メーカーは、乳原料をニュージーランドとオーストラリアの会社から仕入れたと説明しているだけに事情は複雑です。

事故米の不正転売事件の根底にあるのは、安い米の輸入を防ぎ競争力の乏しい中小農家を守るために掛けられた「高関税の代償」として押し付けられた、「ミニマムアクセス米の輸入という農政の矛盾」にそもそもの原因があるというのが一般的な見方のようです。

平成15年には、食の安全に対する信頼を取り戻すため、食品衛生法が56年ぶりに抜本改正され、各地の検疫所では、輸入食品について残留農薬や添加物、遺伝子組み換え食品などのチェックをしています。こうして監視態勢の強化が図られてはいますが、それでも世界で約700種類あるとされる農薬のうち約60種類を検査しているに過ぎないというのです。

そこで気になるのが「原産地」なのですが、JAS法では、すべての生鮮食品には原産地表示が義務付けられており、「加工食品」についても、海外で製造・加工された製品にいては原則として「原産国」の表示が義務付けられています。

うなぎといえば、中国から輸入されたカバ焼から合成抗菌剤が検出されたというニュースもありましたが、中国産のウナギを輸入した業者が日本でカバ焼にした場合は、「原料・原産地 うなぎ(中国)」と表示される約束となっています。

農林水産省は05年に、「外食における原産地表示ガイドライン(指針)」の作成に着手し、外食産業のメニューなどに、食材が国産品の場合は「国産」、輸入品の場合は「原産国」の産地表示を基本とする指針をまとめています。

食品、特に海外から輸入される食品についてはその安全性に疑問符がつくと言わざるをえません。今回の諸々の事件や事例が示すように、国民の知りえない部分で様々な添加物が含まれている可能性が残されており、またそれらを我々が日常的に口にしている可能性がない訳ではないという、言うにいわれぬもどかしさを拭いきれない不安感が残ります。

それが健康被害につながらないという保証があればいいのですが、残留農薬やさまざまな環境ホルモン=内分泌攪乱化学物質 endocrine disrupter の生体への作用、とりわけ胎児期の脳の形成や発達に及ぼす影響が心配されるところです。

特に臨界期と呼ばれる妊娠初期とか、後頭葉発達のピークに当たる妊娠後期や出生後1年間に受けた有害物質の作用は、脳の構造や機能に多大の影響を与える可能性があることを懸念されており、最近増えているADHD−注意欠陥多動性障害などの発達障害をはじめ、反社会的人格障害衝動性の亢進などの原因との関連性を指摘する研究者も少なくはないのです。