タミフル 効くか 効かぬか?

 インフルエンザ治療薬タミフルに対する耐性株(薬効が期待できない)の出現が話題となって、テレビでも放映されるようになりました。

 タミフル (一般名:リン酸オセルタミビル)については、耐性ウイルス出現だけではなく、1才未満への投与差し控え04年1月)、「異常行動」など副作用との因果関係、さらには、新型インフルエンザ対策として備蓄されてきたタミフルの一部に有効期限が迫りつつあることや、その有効性についての疑念など、課題が次々と登場して悩みが尽きないようです。

 タミフル耐性株は、東大医科学研究所らのグループが、0203年の流行に際して約2割の子どもで見つかったこと報告していますが、タミフルの服用前後で18%に当たる9人に遺伝子変異が証明され、タミフルが効きにくくなっていることが確認されました。

さらに06年4月の日本感染症学会では、大流行を起こすことの多いA型ではなく、B型でも人から人への感染が確認された始めてのケースが発表されています。0405年に神奈川県内のけいゆう病院など4医療機関を受診したB型インフルエンザの患者422人の調査で、タミフル治療を受けていない患者6人(1.4%)から耐性を示す遺伝子変異が見つかり、うち3人は市中感染、残る3人は家族内感染とみられています。

それまで耐性ウイルスは感染しにくいとされていた常識を覆すものでした。

さらに本年1月末には、横浜市内の8〜13歳の男女5人からタミフル耐性ウイルス(Aソ連型)確認の事実が横浜市衛生研究所の調査で判明しています。 全員がタミフル服用前であったため、服用することによって患者の体内でウイルスが変異したものではなく、耐性ウイルスによる集団感染であったとみられています。(2月28日、各紙報道)

 いま問題になっているのは、耐性ウイルスの出現率に極端な地域差があることと、従来考えられていたようなタミフルの使用過多による耐性株の出現ではなかろうという点でしょう。

昨シーズンに流行したAソ連型ウイルス(H1N1)1713株についての調査で注目すべきは、9件で耐性株が見つかったことで、全体では442.8%が耐性株であったものが、鳥取県だけは32.4%と高率であることです。耐性株はいずれも、タミフルを服用していない患者から分離されている点からみて、自然発生的な耐性株が人から人に伝播した可能性が高いものと考えられています。

鳥取県が突出して高い原因は不明で、重症化傾向もみられませんが、鳥取県に隣接している島根県1.2%や、兵庫県は7.5%と低かったというのは不思議な現象です。

 ノルウェーでは67%の高率で耐性ウイルスが、欧州諸国全体でも20%以上のソ連型ウイルスが、さらには、南半球にまで広がっている事実が確認されており、全世界での同時流行の色彩が強いようです。WHOも世界各国の耐性率などに関する情報を収集し、インフルエンザに対するタミフルの効果が低下しているのかどうかの評価を開始しています。

 新型インフルエンザについては、わが国での対策の遅れ、とりわけタミフル一本(2800万人分。もう一つの抗インフルエンザ薬リレンザは135万人分)に絞った抗インフルエンザ薬備蓄のきわどさが各方面から指摘されています。

現在のところ、H5N1型鳥インフルエンザにもタミフルは有効だと考えられています。タミフル投与のない鳥インフルエンザ発病者の90%近くが死亡し、投与群の生存率50%と対比を示しているという心強いデータはあるものの、2005年にはベトナムからH5N1型ウイルスにタミフルが効かない症例の報告が出ています。この耐性の出現については否定的な意見もあってH5N1型に対する耐性に関しては、結論が出ていないのが現状です。

免疫力の弱い子どもにおいては、感染期間が大人よりも長引きやすく、そのためにウイルスが耐性を獲得しやすい、特に、持続期間の長い鳥インフルエンザにおいてはより耐性を獲得しやすい可能性も指摘されており、パンデミックにつながる恐れが高いのではないかと危惧されています。