新型インフルエンザの登場は?

  例年より出足の早い今季のインフルエンザの流行ですが、大阪では、一進一退でやや中休みの感がある地域もみられるようです。

それでも第46週(1117日〜23日)は前週比14%増、第47週(1124日〜30日)も前週比52%と、流行に加速がつき始めた様子もうかがえます。

 寒くなるにつれて「新型インフルエンザ」に対する警戒感と関心が高まり、テレビで放映される機会も目立つようになっています。

いつ爆発しても不思議ではないとされる「新型インフルエンザ」ですが、現在は未だ「ヒト-ヒト感染が無いかまたは極めて限定された(インドネシアでは疑い例あり)」Phase 3」に留まっているのが不幸中の幸ともいえます。

来るぞ来るぞが狼少年に終わることを期待したいものですが、いつか登場することは避けようがない雲行きで、「10年後までに100%発生するとの認識を持つべき」というのが国立感染症研究所から出された警告です(12月8日、毎日新聞)。

掛け声ばかりで不安を煽りすぎる感なきにしもあらずですが、新型が発生していないからまだいいものの、わが国の対策の甘さは各方面から指摘されている所です。

特に流行時に発生しうる事態に対する医療のあり方や、いかにして社会機能を維持して損失を最小限にくい止めるかといった総合的戦略を欠くことが致命的と指摘されているのです。

ワクチンや抗インフルエンザ薬使用の優先順位などについても、政府と国民の間に意見の相違が存在し、それをどのように調整するかの国民的議論と納得を求めようとしない姿勢は残念なことです。

 「パンデミック」になれば、日本国民の4人に1人、2500万人が発病し、患者の看病などで欠勤せざるをえない健康な人を含め、約4割の人が職場や学校を休むことになるのではないかと予想されています。このうち、入院の必要な患者数は5364万人、死者は17万人から最悪64万人に達するのではないかというのが現在の推計です。

世界を相手に一刻一秒を争っている企業では、従業員の大半が休んで戦力がダウンしたからといっても活動を中断するわけにもいかず、パンデミックや大災害に遭遇しても、いかに事業の中断を防ぐかというBCP(事業継続計画)の策定を進められているようです。それに比べて病院や医師会でBCPに熱心に取り組みマニュアルの策定まで完了した組織も多くはなく、パンデミックでは最も頼りにされる筈の医療界の対策の遅れも気になるところです。

国や自治体に備蓄されている抗インフルエンザ薬の配分方法や配送の手順が明らかにされておらず、医療機関独自の備蓄も一部でしか進められていない以上、パンデミック勃発時の大混乱は想像を絶するものになるはずです。

 現在のPhase3から、ヒト-ヒト感染の証拠が明らかになる「Phase 4」を迎えると、世界的な爆発的大流行「パンデミックのPhase 6」にまでは一気に、短期間で進むことが危惧されています。

 政府対策案では、国外で新型インフルエンザが発生した場合、「感染していないことを確認した上で」帰国を希望する在留邦人をすべて速やかに帰国させることになっている一方、感染した疑いのある邦人には現地での治療を勧め、帰国は認めず、「機内で感染させる恐れがある」として、航空会社にも搭乗拒否を求めています。

 国立感染症研究所のシミュレーションによると、東京在住の1人の日本人が海外で新型インフルエンザにかかり帰国すると、わずか2週間で北海道から沖縄まで全国に広がり、感染者数は36万人に達するとの試算が出されています。