最悪のシナリオ ? (2)

 大阪におけるインフルエンザの報告数は、第49週(12月1日〜12月7日)が対前週比43%増の853となり、流行の目安とされている「1定点あたり1を超え」て、いよいよ本格的な流行期に入ったと思われます。

関東地方でも、山梨県から千葉県や栃木県などに流行が広がって報告数が急増しており、全国的な流行を迎えたことがうかがえます。流行しているタイプは、A香港型に次いでB型の報告数が多く、Aソ連型も2割程度に見られるところからトロイカ流行の色合いが強くなってきました。

新型インフルエンザに対する関心の高さから、ワクチンの接種率は例年に比べて高めに推移していますが、流行中のインフルエンザにどれくらいの効き目があるかは今後の検証を待つ必要があります。

季節性のインフルエンザが流行し、H5N1型ウイルスに感染したトリ類や患者への接触機会が増えるようなことがあれば、新型インフルエンザが生まれる危険性が高くなることは毎年のように危惧されていることですが、今季の流行がH5N1型の流行地で強く起こるかどうかもその動向を占う要因となるでしょう。

12月9日、香港政府は約60羽の異常死した鶏の死骸と糞からトリインフルエンザH5型ウイルスが検出された事実を明らかにしましたが、まだ養鶏場の関係者には感染が広がってはいないということです。この養鶏場での飼育歴がある約9万羽の鶏が処分されたそうですが、香港における今後の流行状況から目が離せない日々が続くでしょう。



新型インフルエンザワクチンはいつ接種してもらえるか?

新型インフルエンザに対するワクチンはまだ開発されてはいませんから、現在、接種を受けることはできません。

フェーズ4に突入し、ヒトからヒトに感染が広がっても、ワクチンを作るのに最適なウイルス株を選び出して製造に着手したところで最低6カ月はかかると考えられています。しかもワクチン製造には孵化鶏卵という特殊な卵を必要とするため、それが十分に確保されていなければもっと遅れることになりかねません。そのためにプレパンデミックワクチンという代替品の利用が考えられているのです。

外国では生産の所要時間を短縮する技術が開発されていますが、米化学大手のダウ・ケミカルはNIH(米国立衛生研究所)と共同で、従来の動物を素材とするワクチンではなく植物由来にすることで同期間を1/4くらいに短縮する技術の開発を進めているそうです。 このワクチンは純化しやすく副作用も少ないばかりか、注射ではなく、スプレー式点鼻薬やカプセルの形での使用が可能となるため、広く簡単に接種することが可能になるものと期待されています。

また、英オックスフォード大学では、インフルエンザウイルスの表面蛋白(HA)に対する抗体産生を促す従来のワクチンに代わり、殆ど変異しないウイルス内部の蛋白質を元に製造する画期的な万能ワクチンの臨床試験が始められたということです(1214日、毎日新聞)。