最悪のシナリオ ? (7)

 

(13) 新型インフルエンザをめぐる混乱A  ウズラにインフルエンザ !?

 

 農林水産省と愛知県は、2月27日、豊橋市のウズラ飼育農家で、2羽のウズラから高病原性鳥インフルエンザウイルスH7亜型が検出されたことを発表しました。

さらに3月2日には、新たに卵出荷一農場で鳥インフルエンザウイルスの遺伝子検出検査で陽性反応が出たと発表。現段階では、鳥インフルエンザへの感染が確認されたわけではないものの、この農場の半径5`以内の9つの農場について、2日からの出荷解禁予定を見合わせ、新たに卵などの移動自粛を求めることとなったということです。

新型インフルエンザの流行が懸念されるなか、聞き捨てならないニュースですが、ウズラのインフルエンザがヒトに感染を起こす恐れは今のところないとのことです。

 

新型インフルエンザのウイルスとしてトリH5N1型が最有力視される一方、20世紀に経験した4回の大流行(パンデミック)は、H1(スペインかぜ1918年、ソ連かぜ1977)H2(アジアかぜ1958)H3(香港かぜ1968)H1〜3の3種類だけであり、他のHAを持ったウイルスはヒトには流行を起こすことはないのではないかという説も無視できないのです。

このHAというのは、A型インフルエンザウイルスの粒子表面に存在する2種類の蛋白質−ヘマグルチニンhemagglutininHAとノイラミニダーゼneuraminidaseNA−の一つで、抗原性の違いによりHAH1H1616NAN1N99種の亜型に分類されています。

BC型ウイルスは主にヒトから分離されるのに対して、A型ウイルスは、本来トリ固有のウイルスがであったものが、ニワトリなどの家禽や野生の鳥類だけではなく、ヒト、ブタ、ウマ、アザラシ、クジラなどにも広がり、宿主域の広いウイルスへと進化したものと言われています。

カモからは全ての亜型が分類される(理論上16×9=144種類)のに対し、ヒトでは上記H1H3の3種類のほかH2N8H3N8の過去における流行が血清学的に示唆されているにすぎません。

 

今のところ、H5N1型以外のパンデミックウイルス候補としては、オランダで流行をみたH7N7や北米の野鳥間に侵淫しているH9N2なども挙げられています。

 

今回ウズラから検出されたのは、高病原性鳥インフルエンザウイルスH7亜型ですが、国内でH7型が発見されたのは1925年以来84年ぶりとのことです。H702年にイタリア、06年にオランダで流行して問題視され、最近では昨年12月にデンマークからも報告されています。

H5H7型は感染したトリが大量死する場合もあるところから、家畜伝染病予防法で「高病原性鳥インフルエンザ」に指定され「高病原性扱い」になってはいるものの、強毒性ではなく、ヒトへの感染の可能性も低く、特に卵や肉を食べた人に感染したりすることはないとみられていますが、農水省はこの農場が飼育している32万羽のうち28万羽の成鳥を殺処分の対象にしたということです。

愛知県は全国一のウズラ卵の生産地で、県内38業者で国内の約7割のシェアを占めているそうですが(新聞報道)、殺処分や半径10`以内の家禽の移動制限措置によって流行の拡大が阻止されるにしても、今後、混乱や風評被害の懸念が心配されるところです。