新型インフルエンザ 新しい段階に

 大阪、兵庫で感染が拡大し、一部の地域では「感染拡大期〜まん延期」に相当すると考えられる新型インフルエンザですが、20日には東京都と川崎市でも感染が確認され、患者数は8都道府県で350となりました(5月26日現在)。

 ちなみに、25日現在のWHOによる感染報告は49カ国・地域で1万2566、死者は4カ国93人となっています。

 

今後、全国への感染拡大や、二次、三次感染の発生状況が懸念されますが、感染拡大防止のために一律休校措置となっていた大阪府や兵庫県でも、25日には学校、幼稚園が再開されました。

教育現場に活気が戻ったのは誠に喜ばしいことで、流行はこれで終息に向かうという雰囲気も感じられなくはありません。25日午前には、「終息宣言まではいかないが、終息へ向かっていると感じている」という官房長官談話も出されているくらいです。

しかし、果たしてそうなるでしょうか?

柔軟な現実的対応と言えば聞こえは良いのですが、感染が再び拡大する怖れなきにしもあらず、流行のピークが2週間後くらいに訪れる可能性も残されており、場合によっては再び学級閉鎖という事態にもなりかねません。

市民生活への深刻な影響が広がる中、流行地での過剰反応や風評被害、移動や出張など企業活動の制限に踏み切らざるを得ない会社も少なくないようです。

 WHOも、日本での拡大パターンや対応に関心を示しており、「フェーズ6」へ格上げのタイミングを計るべき瀬戸際に立たされていますが、「パンデミック宣言」が発せられた時の市民生活や経済活動への影響を恐れて反対している英国や日本の立場などに配慮して、WHOはフェーズ6宣言を躊躇しているようです。

 

 新型インフルエンザは弱毒性ということで、政府の「新型インフルエンザ対策本部」「基本的対処方針」を改め、弾力的で現実に即した方針に転換しました。

政府の新たな対策で、自治体の独自判断が可能になったのです。

 

 厚労相が定めた「運用方針」では、「患者が少数で感染拡大防止に努めるべき地域」と、「急速な患者数の増加が見られ重症化の防止に重点を置くべき地域」に二分化し、兵庫や大阪など後者に属する地域では、事実上の「感染拡大期・まん延期」(行動計画における第3段階)と認識、流行抑え込みを諦めた流行宣言とも受け取れる対応となっています。

  大阪や兵庫では、発熱外来での対応が限界に達し入院ベッドもパンクということで、一般医療機関での発熱外来設置軽症者の自宅療養を認めることになったのです。

いくら弱毒性とはいえ、国民の大多数が免疫を持たない新型ウイルスは感染力も強く、大流行につながる危険性が大きいだけに、医療機関では、院内感染をはじめ感染防止対策と管理に綱渡り的対応を迫られることになりかねません。

 

 新型ということで、ほとんどの人に免疫はないと思われていましたが、60歳以上の人の感染が少ないという特徴に着目した米国CBCの調査では、60歳以上の3分の1くらいの人が今回のH1N1型類似の抗体を保有していることが判明したということです。

 50年ほど前の流行というと、1940年代に流行した「イタリアかぜ」の影響を無視するわけにはいかないでしょう。

豚型インフルエンザH1N1型)は、1918年に大流行したスペインかぜが一旦終焉した後も小流行を繰り返し、1947年のイタリアかぜへと引き継がれた後、1957年のアジアかぜパンデミックH2N2型)に取って代わられることになったのです。

1977年には同じH1N1型のソ連かぜの流行をみますが、変異の程度が軽く、1968年に登場した香港かぜ(H3N2型パンデミック)とその後は毎年のように流行を繰り返すことになります。

今回のH1N1型が強毒化するとか、H5N1ウイルスなどと交雑を起こしてより強力な新型に生まれ変わる怖れがあるとの意見もありますが、その可能性がないとは言えないまでもそれ程リスクの高いものではなさそうです。