新型インフルエンザが大流行したときに 保育園は?

 国立感染症研究所は9月4日、全国約5000のインフルエンザ定点から報告された患者数が、8月24日〜30日の1週間で対前週比3.2%増の1万1636となり、一定点あたりでは2.52であったと発表。

連続8週の増加で都市部での増加が目立ち、全国の総患者数は約14万人に上ると推計されるそうです。

 

 夏の猛暑や台風来襲後の残暑を乗り越えて流行はさらに拡大しており、10月初旬には本格的な流行に入るのではないかと懸念されています。

 各地で学級閉鎖や休校が進められているようですが、登校・登園できないとなると、わが子は無事でも仕事を持つお母さん方にとっては一大事です。微熱やちょっとしんどいという程度でも登園を拒まれるケースもあるようですから、閉園・休校や登園不能といった事態への対策は欠かすことができないでしょう。

 

5月の流行時には、即閉園を打ち出した自治体もあり、病原性や流行規模から考えて何か割り切れない思いをお持ちになった方も少なくないと思われます。病原性の強いH5N1型に合わせたガイドラインとの乖離が過剰反応を呼んだのですが、行動計画を病原性や感染性の変化に応じて弾力的に修正することの大切さが痛感させられたものでした。

的確な情報の開示と伝達も不可欠ですが、大阪府教委は8月20日に現状に合わせた「新型インフルエンザ学級閉鎖基準の緩和 」を発令しています。


  有症者1015%程度(40人クラスで5人程度)で4日間の学級閉鎖
  学級を越えての感染拡大の恐れ→学年閉鎖(4日間程度の学年休業)
  学年を越えての感染拡大の恐れ→休校 (4日間程度の学校休業)

これはあくまでも大まかな基準ですから、学校か、幼稚園か保育園かでも異なり、地域差や個々の事情に合わせて個別の対応が採られることは言うまでもありません。

神奈川県鎌倉市の市立幼稚園では、園児の4分の1がインフルエンザに感染しながら、仕事を持つ保護者の都合に配慮して保育を続けているということです(9月2日、毎日新聞)。この方針が英断と言えるか否かは別にして、25%が発症している状況を考えるとリスキーな選択となるでしょう。園児は軽症でも、喘息をもった子の重症化とか、妊娠中のお母さんや幼い弟や妹への感染拡大が懸念されるからです。

休園すると保護者は子どもをどこかに預ける必要があるからとの判断だそうですが、インフルエンザを発病した乳幼児を保育所に代わって預かる「病児保育所」でも、保育の判断にためらいがあることはまぎれもないことです。保育が感染拡大の温床になりかねず、隔離や他の疾患で保育中の園児との分離に諸々の困難が生じることが予想されます。

 

新型インフルエンザと分かれば預からないという病()児保育施設も少なくありません。

この春以降に感染した人を除いて誰も新型インフルエンザの免疫をもっていないので、園児からスタッフが感染を受けて、また他の児童に移すというケースもなくはないからです。

全国病児保育協議会の大阪支部でも、大流行に備えていろいろなシナリオを予想し対策を練っています。主だったケースと対応について触れますと、

 @大流行で保護者も勤務できない状況 →病児保育所の出番はなく家族全員自宅で待機

 A小流行時の段階での対応で留意すべきこと

1)濃厚接触者はいないかどうか

2)他児への院内感染や、スタッフへの感染の恐れはないか?

3)保育中の新型インフルエンザ罹患児の症状急変 →すぐさま 病院を受診する

  特に、タミフル内服中の児童への対応(異常行動、譫妄など)は?

4)インフルエンザの患児のみ預かる→季節性インフルエンザの同時流行時は対応困難

5)どのような状態になれば「登園」可能か? (登園基準見直し必要性は?)

  「学校保健安全法」では「治癒するまで」出席停止。(「治癒」とは、「発症した日の翌日から7日経過するまで」、または、「解熱した日の翌々日まで」

季節性インフルエンザでは「解熱後2日が経過するまで」出席停止)

6)新型インフルエンザワクチンを受けている児童の場合はどのような扱いに?

B家族に患者が発生していないのに、保育所、幼稚園が休園になった場合。保育所に通園中の児童をどうするか?

  C家族に感染者がいて、本人のみ健康な場合の取り扱いをどうするか?

D別の病気で預かった児童が保育途中で熱発し、インフルエンザが疑われた場合は、直ぐに「隔離」し、親に連絡した上で医療機関受診を急ぐ

 Eスタッフに感染者が出た場合は、ケース・バイ・ケース。周辺への感染拡大がない場合は保育事業の継続も考慮し、同僚やスタッフへの感染拡大が疑われる場合は即時閉園

Fスタッフへのワクチン接種や、抗インフルエンザ薬の予防投与

 

以上のように流行規模により予想される事態への対応に差がでるのはやむをえないでしょうが、病気の児童を預かる病()児保育施設にとっては、利用者やスタッフの感染予防に最大限の配慮が求められることはいうまでもありません。

感染が疑われる児童の早期発見と他児からの隔離、手洗いと消毒、ドアの取手や什器などのアルコール消毒、紙タオルやガウンの使用、玩具のアルコール清拭や紫外線殺菌など日常的対策standard precautionや、ウイルス除去機能をもった空気清浄機の使用などの感染予防対策が必須となりましょう。