新型インフルエンザは 弱毒性と言えるのでしょうか?

 

国立感染症研究所の発表によれば、1月25日〜31日の1週間の新規のインフルエンザ患者数は前週比28%減の1定点あたり6.46になったということです。

7月上旬以降の累計患者数は約2006万人ですが、不顕性感染者なども含めると国民の4〜5人に1人は既に罹患していることになるでしょう。

 

このうち死亡者は累計180余人で、致死率は0.001%以下、ハイリスクとされる妊婦の死亡者は0人ということですから、諸外国の実情に比べれば極めて軽症に経過しているということになります。

米国では死亡者1万1千人、致死率0.02%と推計されていますから彼我の違いは明らかです。ウイルスの病原性に差があるのではと疑いたくもなるのですが、遺伝子検査では全く同種のウイルスであることが証明されているようです。

 この違いはどこから来るのでしょう?

 日本ではインフルエンザが疑われれば殆どが迅速診断検査を実施、陽性と判明すればタミフルなどの抗インフルエンザ薬を処方されるというのが一般的ですが、先進諸外国ではこのような治療体系は一般的ではなく、タミフルなどの投与も遅れ勝ちになる傾向もあって、この辺りの違いが致死率の差となって表れているようです。

 

 このようなわが国の実情を見ると、今回の新型インフルエンザは例年の季節性インフルエンザと大差がなく思われ、一部にはそのような趣旨の発言も見受けられます。しかし一方で、新型インフルエンザは従来のインフルエンザとは違い警戒が必要であるという専門家も少なくないようです。特に9月半ば以降は、小学生とその前後の年齢層の患者が大幅に増え、重症例の70%が14歳以下であったこと、そのうち脳症と肺炎など呼吸器症状を呈する子どもが目立つという特徴が見られています。

 インフルエンザ脳症は子どもにとって恐ろしい合併症ですが、新型では1月末までに240人の報告があります。

年齢別にみると例年は0〜4歳の割合が高いにもかかわらず、新型では5〜9歳層が最多となっています。 脳症は2日目が最も多く、3日目までが殆どのようです。

 呼びかけに応えないなど「意識レベルの低下」を思わせる症状や、ケイレンが長時間30分以上)収まらないケース、ケイレン後の意識回復の遅れ、更には意味不明の言動がみられる時は、脳症を疑って直ちに医療機関を受診すべきでしょう。

 入院が必要になるような危険因子としては、喘息やその他の呼吸器疾患が最も多いようですが、そのような危険因子や基礎疾患がなくても急に呼吸の乱れや全身状態の悪化で入院し、時には人工呼吸器が必要となるケースもすくなくないことから、必ずしも病原性が弱いとは言い切れないという意見も少なくはありません。